Scribble at 2023-04-03 15:32:48 Last modified: 2023-04-03 15:49:39
AWS for Non-Engineers という本が Manning から出ていて、その著者が西村寛子(Hiroko Nishimura)という人物であった。上記のとおり、special education からのキャリア・スウィッチャーとして AWS の普及に取り組んできたらしく、AWS Community Hero のタイトルを2020年から保有しているという。ちなみに "special education" って特別学級(特殊教育)の教員養成コースっていう意味だろうか。それなら、教育・啓発という広い意味では同じことをやっているともいえるのだろう。
さて、彼女が著した本について少し紹介しておくと、まず本当にコンピュータとかネットワークに興味があって知りたいと思っている素人には、疑いなくお勧めできる本だと思う。でも、ビジネス・トークのネタとして AWS について語っているふりをしたいクソ営業(日本では恭しく「SE」とか「プロマネ」などと呼ばれたりする)とかプランナーといった人々には、敷居が高いと思う。興味ない人は、これを読んでもピンとこないからだ。本当に好きな人だけが読んで、「なるほどね」と思えるような本だと思う。そして、僕らのように利用者として AWS を使って巨大企業の案件をコントロールしているプロから見ても、AWS なりクラウドなり IaaS を説明するときに良い参考になる本だと思う。たとえば、クラウド・サービスの利点として以下のようにまとめられているのもありがたい。
• Trade capital expense for variable expense
• Benefit from massive economies of scale
• Stop guessing capacity
• Increase speed and agility
• Stop spending money running and maintaining data centers
• Go global in minutes
あとは、上場企業とか老舗企業に限って従量課金という考え方を理解できずに、予算枠とか見積もり金額をあらかじめ算出するように言ってくるので、そのあたりは電通案件とかやってそれなりのロジックを駆使しているわれわれの手腕になってくる。もちろん、20年くらい前の(ネットワークやコンピュータの知識が実は殆どない)ウェブ屋や開発屋のように出鱈目に水増しした金額を言うわけではない。キャパシティ・プランニングの実務家でもあるわれわれが、正当な利益はもらうにしても、矜持としてそんなことするかい。