Scribble at 2020-07-27 12:09:31 Last modified: 2020-07-28 14:49:42

もうすぐ PHP はバージョン 8 が登場するというのに、いまだに PHP 4 の資格だけぶら下げているというのはどうかと思う。もとより、PHP の資格なんて国内の資格ですら認知度が低くて実質的には何の評価にも影響しないわけなので、Zend の資格は言うに及ばすなのだが、まだ公式の開発元で提供している資格だけあって少しは信頼度もあろう(とはいえ、PHP の開発元である Zend という名前すら知らない人も多いわけだが)。ちなみに、こういう資格の効果と称してプログラマの一般的な年収とかを掲載しているクズみたいな資格情報のサイトが山のようにあるのだけれど、はっきり言って資格なんて就職にも年収にも殆ど関係がない。あるとすれば、ゼネコンの「兵卒」にわずかな手当てがつく(資格をもっている兵卒の頭数を掛けて技術コストの見積もりを官公庁に出している)ていどのことで、大多数のエンジニアやコーダにはかかわりのないことである。

現在、PHP の資格は「2017-PHP」のように PHP のバージョンではなく、試験内容を改定した年次でバージョンとしているらしい。それ以外にも、一時的に「ZCPE(Zend Certified PHP Engineer)」という資格があったり、PHP 5 では「PHP 5」の資格と「PHP 5.3」の資格が分かれていたりと、かなり混乱している感がある。それから資格保有者の一覧である ZCE Directory を見ると、大多数の方が僕も含めて1つの資格しか持っておらず、腕試しに受験しただけか、あるいは資格を持っていても就職や昇進とは何の関係もないことが分かって継続しての受験をしていないかのどちらかなのだろう。もちろん資格をもっていることと現実の開発が適切にできるかどうかとは、はっきり言って殆ど相関がないので(実際、僕が受験した当時の設問は仕様やシンタクスの知識だけで解けるから、実務経験が全くなくても資格はとれる)、なんにせよ実務家が知識の整理を目的に体系的な勉強をやり直して受験するというインセンティブが明確になっていなければ、何度も受験する意義が感じられないのは当然だろう。次々と仕様が変わったり、あるいは新しい機能が追加されたり無くなったりするのが(実際に使われ続けているメジャーな)開発言語の自然なライフサイクルというものだが、それらの変更管理が容易であるか、あるいは多くの開発の実務では影響が少ない変更ばかりであれば、わざわざ受験しなおす必要もないであろう。(実際、オライリーから今年の3月に改訂版が出ている "Programming PHP: Creating Dynamic Web Pages" というスタンダードな解説書の著者である Peter MacIntyre でも、PHP 4 と PHP 5.3 の資格しかもっていないらしい。)

しかし、そうは言っても僕の場合は資格を得たのが2006年、つまり PHP 4 の時代であったから、これはいかにも古い。もちろん、プロの技術者としてそれ以降の変更を無視しているわけでもないが、積極的に新しい機能を使っているわけでもない(例えば僕は自分が実装している環境で名前空間を使ったことはない。もっとも、無理に使うものでもないが)。よって、実際の知識や経験の範囲は PHP 4 に長ーい毛を生やしていったていどのものである可能性があるわけで、さらに適切で《良い》コードが書ける可能性を知らないままとなっている可能性もあろう。ということで、久しぶりに PHP の体系的な知識をおさらいしてみるのもよい。ただ、資格試験を受けるかどうかは別の問題だ。冒頭でも書いたように、資格試験の勉強には素養を充実させる価値があるが、資格をもっていることの実利は殆どないからだ。バウチャーの設定を見ると受験料はおおよそ3万円かかるので、ごく普通の日本のサラリーマンには相当な出費と言ってよい(二か月分の昼食費が吹き飛ぶくらいの値段だ)。

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