Scribble at 2022-08-03 12:56:09 Last modified: unmodified

添付画像

The Annotated Turing: A Guided Tour Through Alan Turing's Historic Paper on Computability and the Turing Machine

Das Entscheidungsproblem として知られている計算論・計算可能性論の古典的な話題は、いまや多くのテキストでも取り上げられているが、シンプルな解説は人を煙に巻くような(たぶん書いてる当人もよく分かってない)ものが大半を占めており、かといって詳細かつ精密な解説は殆どないというありさまなので、結局はプロパー志望の大学院生が原文を読んで終わるといったていどの範囲にしかインパクトが伝わらない。本来、啓発書の役割は原著(それが翻訳だろうと)に人を向かわせるような意欲を引き起こすものでなくてはならず、自称「理系」が「俺はこんな難しいことを理解して東大助教授やってるんだぜ!」などと自意識プレイを繰り広げる、TikTok で女子高生が垂れ流すマスターベーションのビデオのようなものであってはいけない。そんなものは、これから何億冊書かれようと、何十億人に読まれようと、しょせんは社会や学問を 1mm も進展させないクズでしかない。

そういう中で、最善とまでは言えなくとも丁寧に書かれた解説や著書を紹介し、安っぽいアフィリエイトのご紹介ブログ記事が増殖していくに任せないでおくことは、プロパーの職責であろうし、アマチュアにとっても社会的責任であろう。これまで、僕はメラニー・ミッチェルが書いた『ガイドツアー 複雑系』(紀伊國屋書店)での解説を秀逸な事例として一読をお勧めしてきたが、丁寧に書かれた解説をじっくり読みたいという方には、上記のチャールズ・ペゾルドの著作もお勧めしたい。なお、2012年に日経BPから『チューリングを読む コンピュータサイエンスの金字塔を楽しもう』として翻訳されているが、もちろん IT エンジニアを志望する学生であれば、原書で読めるていどに英語は勉強しておかないと、ジャパンとかいう後進国のブルーカラー(別名、「ものづくりエンジニア」)として一生を終えることになる。

  1. もっと新しいノート <<
  2. >> もっと古いノート

冒頭に戻る


※ 以下の SNS 共有ボタンは JavaScript を使っておらず、ボタンを押すまでは SNS サイトと全く通信しません。

Twitter Facebook