Scribble at 2026-07-18 08:59:42 Last modified: unmodified

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The state of open source AI

このレポートは、2026年7月時点でのオープン・ソース AI(特に「オープン・ウェイト・モデル」)の現状、ビジネス動向、世界的な地政学的背景、そして技術的な課題と未来への戦略を包括的に評価したものだ。全編を通して、AI の主権を借りる状態から所有する状態へと移行させるための重要な岐路にあることが示されている。

2023年時点のオープン・ウェイト・モデルは、品質の問題やハルシネーション、ファイン・チューニングの失敗などが目立ち、最終的に多くの利用者が商用モデルに回帰してしまうような状況だった。しかし2026年7月現在、状況は完全に一変している。最新のデータによると、トップ・クラスの商用クローズド・モデルとオープン・ウェイト・モデルとの能力差はわずか 3.3 ポイントにまで縮まっており、ほぼ互角の戦いを繰り広げているという。ただし、ここで取り上げられているオープン・ウェイトのモデルというのは、正直に言えば僕ら一般ユーザが家庭のパソコンで動かせるような類のものではない。それは、Huggingface などで実際にご覧いただければ分かるように、モデルのファイル容量が合計で数百ギガバイトにもなるからだ。これを扱える VRAM を搭載した家庭用のグラフィック・カードは存在しない。また、メイン・メモリなどへオフロードしたとしても、メイン・メモリですら数百ギガバイトを搭載する個人のパソコンなんて滅多にないはずだ。恐らく、自宅で FX にパソコンを使っているような人ですら、そんなスペックのマシンは使っていないだろう(株式や為替の投資で使う場合は、パソコン本体の VRAM の容量などよりも通信ネットワークの方が重要に決まっている)。

ともあれ、2025年1月の DeepSeek-R1 の登場によって、商用モデルとの差は、一時だけだが、ほぼゼロになってセンセーションを巻き起こした。その後の2026年3月に推論モデルがさらに進化を遂げたことで、現在の Jagged Frontier(ぎざぎざの最前線)と呼ばれる拮抗状態が生まれている。分野別に見ると、コーディングや指示追従、一般的な知識に関しては、オープン・ウェイト・モデルは既に商用モデルと同等かそれ以上の水準に達しているが、複雑な推論や長文コンテキストの検索、エージェント的なタスクにおいては、まだ商用モデルが優位性を保っていると評価されている。

このような状況で、多くの企業が商用モデルの利用において、トークン・ベースの従量課金という壁にぶつかっている。例えばマイクロソフトの一部の開発部門や Uber では、エンジニアの活発な利用によって年間 AI 予算が数か月で枯渇するという事態が発生し、利用制限やライセンスの解約を余儀なくされた。弊社でも、コンテンツ(記事原稿)の制作に外部のサービスを利用している役員や社員が、稟議ではなく先に使ってから経費精算するという、いつもながらの後出しジャンケンで会社の金を勝手に使うというゴロツキのようなことをやっているわけだが、そろそろ CAIO として社内で牽制するべき時期に来ていると思う。こっちも暇ではないから会計年度中の起案になると思うが、全従業員の利用状況を上長が把握して、もちろん業務のコスト(原価)として認識するよう、経営会議でも注意を促し、実際にどういうサービスをどれだけ使っているかを透明にするつもりだ。でないと、銀行や監査機関に何をどう説明して融資を受けると言うのか。

あるいは Stripe 社のように、オープン・ウェイト・モデルを自社でホストする戦略に切り替えた企業は、GPU フリートを固定資産としてコントロールすることで、AI の推論コストを 73 % も削減することに成功している。弊社も、一部の事業では社内に専用のサーバを立てるか、自社で構築した AWS や GCP のシステムで AI を利用することも検討して、AI の元研究者を顧問として採用し相談に乗ってもらったりしている。こういう自社構築のツールが便利になればなるほど、インフラの経済圏をベンダーからレンタルするのではなく、自社で所有してコストの予測可能性を確保することの重要性が明確になるだろうと思う・・・会社がそのときまで存続していればの話だがね。

オープン・ウェイト・モデルの普及は、思想的なイデオロギーではなく、生存戦略として選択肢を確保するという動機や目的よってもたらされている。クローズドな API に依存していると、ベンダーの一方的な都合や輸出規制などの政治的リスクによって、あるとき突然にシステムが停止するリスクがあるからだ。実際に、2026年6月には、米国の輸出規制の発動により、Claude Fable 5 / Mythos 5 の外部アクセスが突然遮断され、世界中の開発者がシステムを利用できなくなるという象徴的な事件が発生した。自前の動作環境で動かすオープン・ウェイト・モデルであれば、このような外部からの強制停止リスクを回避できる。ということなので、中国や EU 圏の国がせっせとオープン・ウェイト・モデルをリリースしているのは、なにもシェア争いやパブリシティ狙いというだけの理由なのではない。

拡散モデル自体の価値がコモディティ化し、価格がゼロに向かっていく中で、競争の舞台はエージェント用のハーネスへと移行している。ハーネスとは、オーケストレーション、長期記憶、サンドボックス環境、そして権限モデルなど、AI モデルを単なるテキスト生成器から自律的に行動する AI エージェントへと変えるための実行フレームワーク一式を指す。ここで重要なのが MCP のようなプロトコルなのだが、それぞれの企業でハーネスを開発するチームが直面する最大の障害は、高いインフラ・コストやセキュリティ・コンプライアンスの懸念、そして継続的なメンテナンスや統合の複雑さだ。商用モデルであれば、最初から HIPAA のようなコンプライアンス要件や安全対策がパッケージ化されて提供されるが、オープン・ウェイト・モデルを自力で実装する場合は、全ての管理策なり安全管理措置を自社で設計し、組み上げなければならない。僕は有能なエンジニアでもあり、Chief Privacy Officer でもあるから対応できるが、IT ゼネコンでセコイ仕様書ばかり書いてる情シスのオッサンどもや、法令なんてクソくらえというベンチャーの小僧といった、僕らの数倍の給料をもらいながら毎日オフィスで鼻くそをほじっているような無能どもには荷が重すぎるわけである。

ただ、こういう状況においても、オープン・ウェイトどうしの競争がなくてはいけない。たとえば画像生成 AI について言えば、上質な画像を生成するモデルの多くがテキスト・エンコーダとして Qwen を採用する傾向にある。これは Qwen の供給元である中国企業の一存で画像生成 AI の開発動向が左右されることになってしまうので、代替のアーキテクチャが求められるところだ。

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