Scribble at 2021-12-26 10:34:50 Last modified: 2021-12-26 22:54:54

暗号化メールのホスティング・サービスとして Tutanota を利用し始めたという話を書いたのだが、個人の提供しているフリー・メールのサービスから移行するという理由の他に、来年から試してみようと思っていることがあって、それも理由の一つだ。すなわち、自分宛にメールを送ってメモの代わりにしようというものである。これは、しばしば「インターネット活用術」みたいな触れ込みの通俗本や雑誌記事などで、馬鹿が高度なメールの使い方などと称して昔から紹介していることだ。しかし、(1) 本当に運用している人は殆どいないように見えること、(2) 実効性のあるルールを考えて紹介している人も殆どいないように見えること、そして (3) いたとしても何らかの成果に結びついた実例が殆ど見当たらないこと、という三つの理由によって、恐らくは20年近くも前から何度も紹介されていながら、実際にはライターの出鱈目な思い付きに過ぎないと思っている。

しかし、発想としてはライターですら思いつくほど簡単なアイデアだが、それを実効性のあるルールとして整備して、本当に実行して、なおかつ一定の成果を上げるのは難しいということだ（もちろん何かの賞を受けるとか大部の本を書くとか上場企業の CTO に抜擢されるといった話ではなく、飽くまでもそれぞれの生活で満足のゆく結果を出すという話でいい。その程度の結果すら、呼吸する自己顕示欲と言っていいブロガーの書くものに見当たらないからこそ、本当に実行してる人なんて殆どいないと言っているのだ）。そもそも、ルールを決めて何事かを堅実に毎日ロボットのように続けるということ自体が、そもそも多くの人にとっては難しいのである。それこそ Twitter や LINE のような、屁やウンコと同じくらい簡単にできる道具を用意してもらわないと、たいていの人間は公の場で革命を叫ぶどころか〈呟く〉ことすらできないのだ。

ということで、何事であろうと意欲を抱く者は、talented / gifted であるなしにかかわらず（知能指数が150だろうと MENSA の会員だろうと人間のクズはたくさんいる）、結果の是非がどうであれ粛々と実行して成果を上げるべきだ（それを、いちいちトリクル・ダウンだのコスモ貴族主義だのと自意識プレイを始めるから、下らない凡人の妬みに巻き込まれるのだ）。

ひとまず簡単なルールとして、メールの保管方法はプライバシーなり情報セキュリティ上の CIA triad を考慮したサービスを利用するという前提があったので、Tutanota は一つの候補であった。もちろん、メールで自分に自分でメモを送信してデータを貯め込み、メールの送り方を工夫して、メールのフィルタリングや仕分けの機能で整理させるというだけの話であり、何も国家転覆のテロだとか大規模な犯罪の計画をしようというわけではない（もっとも、哲学の著作について構想を練るという作業は、或る意味で知的なインパクトとしてはテロを引き起こすことに匹敵するくらいの心意気があってもいいとは思うが）。送信する場合、送り先の宛名に特殊な文字列を追加して、そこへ宛てたメールはメモの用途で送ったものだとフィルタリングで判断させる。次に、件名にタイトル（ブランクでもいいが、ディフォールトで何か文字列を入れておく）を入れて、ひととおりメモを入力したら、特定の separator で区切った後にタグやキーワードに相当する語句を並べる。それをメールの Inbox 内に作ったツリー上のフォルダ構造へ、振り分けの機能で整理させてゆく。

このような仕方が便利なのは、受信したメモに対して自分で返信すると、それが勝手にスレッドの扱いとなってツリー状に整理されることだ。ただのテキストなら、ローカルのコンピュータや Dropbox のようなクラウド・ストレージでテキスト・ファイルを保存して並べたらいいだけではないかと思えるかもしれないが、ただのテキスト・ファイルだとこういう自動の配列ができず、結局はテキストをデータ・ベースで管理するようなアプリケーションを自分で開発するしかなくなる（もちろん、かつては自分で concept map とか argument map のようなものを開発して使ったこともあるが、ウェブ・アプリケーションだとテキストを書く道具や環境がブラウザに固定されてしまうのが嫌だった。それに、いわゆる「オン書き」にリスクがあることも知っている）。