2022年03月27日に初出の投稿

Last modified: 2022-03-27

WithSecure アジアパシフィック地域担当バイスプレジデントのジョン・デューリー氏は、「もはや、一つのブランドの元で、すべての人のためのサイバーセキュリティを提供するという戦略は、通用しなくなってきている。その中で当社は、コンシューマ向けと企業向けの両方のビジネスを本格的に成長させるためには、それぞれが独立したブランドを持つべきであると考え、企業向けに特化した新ブランド『WithSecure』を導入することとした。この新ブランドは、顧客およびビジネスパートナーとの『グッドパートナーシップ』を表すものであり、当社のあらゆる行動の土台となる考え方となる」と、新ブランドを立ち上げる背景を語った。

F-Secureの企業向け部門、新ブランド「WithSecure」として分社化へ

既にご承知の方も多いだろうし僕も何週間か前にご紹介したとおり、Windows 10/11 に最初からバンドルされている Microsoft の Defender という無料のセキュリティ・ソフトが、もはや有料のセキュリティ・ソフトと大差のないパフォーマンスを叩き出している。よって、わざわざ年間ライセンスを何千円か出して契約する必要などなくなったと言ってもいい。このところ情報セキュリティ関連では、SSL サーバ証明書の事業が無償の Let's Encrypt によって決定的な打撃を受けているし、ウイルス対策などでも昨今はコンシューマー向けの事業展開が難しくなってきている。

つまり、これからはコンシューマ向けのセキュリティ・ソフトは販売実績が落ちてくる予想しかできない。すると事業者がやれることの一つとして、上記の記事でも報じられているような市場の違いによる事業展開の区別だ。愚かなジャーナリストや経営コンサルなら「棲み分け戦略」などと、いまや高校生にすら鼻で笑われるような営業フレーズを使うところであろう。でも、早い話がコンシューマ向けの製品と企業向けの製品はセールス手法に違いがあるため、業績がこれから悪くなる予想しかないコンシューマ向けの事業を切り捨てやすくして、会社全体の株価(親会社は NASDAQ に上場している)なり収益構造を守らなくてはならないわけである。

企業向けであれば、「無償ソフトや Windows に最初から入ってるソフトで、信用を担保できますか?」とセールスできるし、実際に弊社でも同じ理屈でスタッフのパソコンには ESET のセキュリティ・ソフトの運用を求めている。もちろん、こういうことは ISMS やプライバシーマークの監査で求められようといまいと、実質的に情報資産を守れるかどうかが重要なのであり、使ったほうがいいなら認証なり取引関係なりにかかわらず財務状況に応じて導入するのがリスク対策として賢明だろう。しかし、事の実質を調べたり考えたり理解できない相手への単なる裸踊りにもパフォーマンスとしての意味があるのは事実だ。よって、裸踊りの必要があるならもちろん、そうするべきだというセールス文句が通用する相手に事業を展開したい側の事情もあろう。それに比べて、コンシューマ向けの事業にそういう「はったり」は通用しない。実質として情報を安全に保護できるパフォーマンスとして無料のソフトでも(というか Windows を使っている限りは何もしなくても)いいなら、セキュリティ・ソフトを使うということ自体に何らかの自意識プレイや自己満足でも感じる人間を除けば、はっきり言って意味はない。

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