2022年05月30日に初出の投稿

Last modified: 2022-05-30

例えば大型店舗では、客のリアルタイムの行動データと商品検索機能などを組み合わせて、客の希望する商品の陳列棚までナビゲーションを行ったり、近くに並べられた商品のお薦め情報のプッシュ通知を送ったり、といったサービス提供が可能になるとのこと。一方で蓄積した行動データは、屋内の客の流れを分析したマーケティング施策の立案や、従業員の作業内容・時間を分析した業務効率化などに活用できるという。

ソニーが屋内行動分析プラットフォーム「NaviCX」提供 人の向きや位置、滞在時間などの測位データをリアルタイムに取得・分析

この手の話題を紹介するメディアって、もういまでは全く「パーソナル・データ」の「パ」の字も出てこないんだよね。つまり、何らかの匿名化という言い訳さえできてりゃ、いくらでもこういうサービスや技術をリリースしたり実装できると思ってるんだよね。そして、エンジニアが社会科学のセンスも教養もないのに加えて、こういうものを「開発」する企画やマーケティングの部署にいる人たちも、まぁはっきり言えばサイコパスでもなけりゃ人として仕事なんかやってられないので、他人の気分なんて問題外なのだろう。リリースして店舗に備えるサービスや設備が、ディーセントだったり道徳的かどうかなんて、別にビジネスでは重要なポイントにならない。しかし、少なくとも損になることを自分でやるのは明らかに愚かだろう。

そもそも来店して歩き回る客だとか執務室エリアで作業に従事する工員らの心理として、匿名化なんて実は最小限の話なんだよね。個人として特定されるようなデータを勝手に保存されたり使われたり、果ては他社に販売なんてされたくないなんてニーズは、GDPR だろうが個人情報保護法だろうが、基本であって当然の話なのだ。だからこそ、可罰的だと国から規制されたり懲罰的な賠償金を行政から要求されるのだ。

それだけに限らず、そもそも〈無断で測定・監視されている〉という事実そのものが気味悪いし、不当なことをされているというのが人の心理というものだろう。そこを「匿名化」なんて一言で弁解できたり正当化できるという傲慢さに、人々は腹を立てるわけだ。企業の個人情報保護マネジメントシステムを預かる立場としても言うが、コンプライアンスなんて人としての最低限だ。それだけやってりゃ後はビジネスの(というか自社の)目的を達せられるよう自由に何でもできるなんて、それこそサイコパスというものだろう。あるいは、わざとバカの振りをして言い訳できるとでも思っているのだろうか。

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