Scribble at 2025-10-09 11:46:16 Last modified: unmodified
井上ひさし氏が絶賛しているという逸話だけが独り歩きしている感はあるが、大野晋氏が手掛ける角川の辞書は、僕も高校時代から『類語国語辞典』を愛用してきたから納得できる。ということで、何冊かの国語辞典を使うのが望ましいという前提で、しかも見出しや漢字表記が判読しやすいものを探してきたのだが、漢字表記の判読については殆ど諦めた代わりに、複数の辞書を活用するという方針だけに絞って、何冊かを揃えてきた。その最後に、『角川 必携国語辞典』(大野晋、田中章夫/編、角川書店、1995)を手に入れた。これは自宅の本を引き取ってもらってもいる、ノースブックセンターから購入したのだが、ほぼ新刊と言って良い状態の商品が届いた。これがアマゾンで「可」という扱いで出品されていたのだから、ノースブックセンターはそれなりに厳しい品質管理をしていることが分かる。やはり古書店業者の中では、他にも信頼できるところはあるが、別格で信頼できる事業者だと思う。
実際に手にとって、類書との大きな違いはこれから分かるのだろうと思うが、やはりどうしても見出し語や漢字表記の判読という点について着目してみた。すると、見出し語の下にある漢字表記について、(1) 見出し語と同じ文字サイズが採用されていて、(2) 字形が判読しやすい書体を使っており、(3) カーニングも適度に間隔が開いていて個々の文字が読みやすくなっている。また書体が教科書体に近いために、細すぎたり薄すぎる線になっていないというのもありがたい。それから、他の国語辞典で漢字表記が判読しづらい理由の一つは、語義の文に使われる字形と同じく「平体」がかかっているからなのだが、角川の辞書では平体がかかっておらず、それゆえ文字が判読しやすいと感じるのだろう。