Scribble at 2024-03-08 22:31:41 Last modified: unmodified
しばしば、従業員なり社員にも経営者の目線を持って欲しいなんてことを言ったりする経営者がいたり、その是非を議論する経営学者とか評論家とかがいたりする。見識とか、あるいは企業人としての素養という意味では、経営やマネジメント、つまりは会社という組織はどういう仕組みや制度で世の中に認められたり事業を営んでいるかを知っておくことは、もちろん無駄ではない。このようなことについて、是非を議論すること自体が馬鹿げている。
だいたいが、会社について何か少しでも知ると、いったいどんなリスクがあるというのか。たとえば、企業経営について理解すると労働者としての権利意識が弱くなり、組合委員として正常に活動できなくなるとでも思っているんだろうか。もしそういう理由で従業員が企業経営や会社法を学ぶことに否定的・消極的なことを言っているなら、左翼というのは、どこまで自分たちプロレタリアートの指導者や組合幹部が正しいなどと傲慢にも思い込み、個々の社員を馬鹿にすれば良いのかという気もするね。
そういう化石のような連中は放っておいて、切実に自分自身の(組合のためでもなく、あるいはプロレタリアート独裁なんてお題目のためでもなく)生活や家族を守り、働き方や暮らし方や生き方を適正に決めたり考えたり制御したいのであれば、自分で起業するにしても会社に勤めるにしても、法人、企業、そして会社というものを理解しておくことはリスクでもなんでもないと言える。
まず、もっとも簡単で手堅い理解として、僕は「会社法」の条文が全て掲載されている六法全書を手に入れるようお勧めする。司法試験の受験生が使うような学習用の手頃なものだと、せいぜい高くても3,000円前後で最新版の六法全書が手に入る。いや、会社について法律という観点で概略を理解するだけなら、別に最新の改正が反映されていない、何年も前の更に安く買える六法全書でもいい。そして、会社法の目次なり章節の一覧を眺めていただくと、法人というものがどういう決まりや要素から成り立っていたり規制されているのかが見通しとして分かる。会社法という法令の全容は900条を超える膨大な分量になっているが、まず大項目の「編」という単位で眺めると、
第一編「総則」
第二編「株式会社」
第三編「持分会社」
第四編「社債」
第五編「組織変更、合併、会社分割、株式交換及び株式移転」
第六編「外国会社」
第七編「雑則」
第八編「罰則」
となっていて、たいていの会社員は第一編、第二編、そして第八編くらいを知っておけばいいと分かる。このうち、第一編は定義が大半だし、第八編の罰則なんて取締役の特別背任と贈収賄くらいだけ知っておけば良い(ちなみに一般の従業員の背任罪は刑法で規定されている)。したがって、第二編の「株式会社」が、大半の会社で企業人として学ぶべき内容だと言える。次に株式会社の中でも、既に働いている会社の設立要件なんて別に詳しく知らなくてもいいし、未上場で持株会もないなら、株式もさほど詳しく知る必要はないだろう。また、機関も取締役会を知っていたらいい。よって、詳しく学ぶなら第五章の「計算等」を眺めて、次に財務会計の手頃な本でも通読しておけば、おおよそ会社の仕組みだとか会社の現状について理解する基本は身につくわけである。