Scribble at 2023-10-31 08:31:36 Last modified: unmodified

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Release 1.6.0 · AUTOMATIC1111/stable-diffusion-webui · GitHub

Stable Diffusion Web UI は、最新版が 1.6.0 なのだけれど、僕は一つ前の 1.5.1 を使っている。更新すると、逆に実行環境や設定内容あるいはベースに使う分散モデルとか LoRA(追加低ランク行列)によって挙動がおかしくなるとか、色々な問題が起きていたようだからだ。

一般論として、実際に使っている条件でセキュリティやパフォーマンスなど、機能要件と非機能要件について大きな問題がなければ、ソフトウェアを迂闊に改変したり更新するものではない。たとえば、かなり多くのユーザが Windows 7 や Vista がリリースされた後も(僕を含めて)Windows XP を使い続けたのは、それで問題がなかったからであり、皮肉なことだが OS を新しく買わせたい Microsoft は、そのインセンティブが低くなるような、或る意味で傑作の OS を作ってしまったわけである。そして、必要もなく OS をグレード・アップすることはないと判断し、僕も含めて Windows 8 が登場するまで10年ていど同じ OS を使い続けた多くのユーザは正しかったと思う。

そしてそれは、コンピュータも闇雲に買い替える必要はないという意味でもあった。実際、20年前の Photoshop CS を使っていた頃と、いまの Photoshop CC 2023 を使っている体感で言えば、同じ程度のサイズのファイルを開くスピードや保存するスピードやフィルターをかけるスピードなどを比べると、はっきり言って殆ど違いがない。フィルターをかけるのに20秒ほどかかっていたものが1秒になったとか、そんなことは全く達成されていない。つまり、Adobe の場合は Node.js のようなスパイウェアを使ってユーザの情報をせっせと抜き取るような誤魔化しにソフトウェアの機能とマシン・パワーを浪費しているだけで、画像編集という本質的なところは殆ど向上していないように思える。それゆえ、生成 AI の機能を追加して画像の変換処理を丸投げするだけで新しいことを何かやったかのごとくインチキなマーケティングが展開できるわけである。

ということなので、作業環境というものは現状で問題がなければ、いくら周りで続々と「先進的」で「最新版」のマシンやソフトウェアが宣伝されていようと、そう簡単に替えるものではないのだ。1枚の画像の生成に30秒ほどかかるなら、それを前提に他の作業や仕事やプランを立てるべきなのであって、それがあまりにも非効率であればともかく、大して自分の生活や仕事に問題がないと思えば、そのままでいいわけである。もちろん効率が悪いと感じたらソフトウェアやマシンを替える検討はしていいが、その前に、生成 AI の場合はプロンプトを工夫して歩留まりを上げるとか、幾つかの工夫はできる。ハイ・スペックなマシンに替えたとしても、プロンプトやソフトウェアの設定に不備があれば、ガラクタが大量に出てくるだけ(garbage in, garbage out)だからだ。

ここでは何度も書いているが、僕のマシンは Ryzen 5 + 16 GB RAM + 500 GB SSD + GeForce RTX 2060 6GB という、Stable Diffusion Web UI で画像を生成できる、たぶん最低レベルのスペックだ。しかし、それでもいちばん簡単な設定(ADetailer などを使わずに Step 20 で DDIM のサンプラーを使う)なら 1,024 x 1,025 ピクセルの画像を約7秒で出力できる。こうして、今年の6月から Stable Diffusion での画像生成を始めて、おおよそ10月の終わりまで4ヶ月くらいのあいだに、約100万枚くらいは画像を出力してきている。もちろん、その大半は削除する他にない結果だが、実感で言えば6月に使い始めた頃は 10% ていどの歩留まりだったのが、LoRA の使い方やプロンプトの工夫などを続けてきて、だいたい今では半分ていどの画像を残してもいいくらいの結果が出ている(但し、その中には一部だけおかしな形状となっていてトリミングが必要なものも多い)。だが、なんにしても更にハイ・スペックなマシンやグラフィック・カードを使って大量の画像を短時間に出力する必要を感じるかと言えば、さほど感じない。これが10倍の生産性になったところで、それを1枚ずつ僕自身が眺める時間まで10倍に増やせるわけがないからだ。

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