Scribble at 2018-04-02 22:11:10 Last modified: 2022-09-26 12:36:10

先日、交通工学を始めとする交通・運輸の学科は歩行者について殆ど何の考慮も払っていない(単にヒューマニズムに欠けるという情緒的な意味ではなく、行政や輸送システムや車の設計を考える上で重要な環境要因を無視しているという意味で)欠陥学問だと評したが、学問について重大な不足を感じることは別の分野にもある。

書店で、脳科学や生物学の棚を眺めていると「生命科学」という分野があるのだが、この分野の教科書には個体の死とか種の絶滅という概念が完全に欠落している。ヒトに限らず、生物種がどれもこれも、この学問のサンプルとして不老不死なり永遠の存続を約束されているかのごとくであり、立ち読みしているだけで、まるで宗教書を読んでいるかのような気分になる。かといって、日本で人の死について最も盛大にものを書き散らしているのは、生命科学の人々である。恐らく、そういう学問をやっていると、あまりの自己欺瞞に耐えられなくなってくるのではないか。

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