Scribble at 2022-10-18 15:02:30 Last modified: 2022-10-18 15:17:26

いま、弊社のコーポレート・サイトで運用している問い合わせフォームは、フォームから受けた問い合わせ内容をメールで所定のアドレスへ送信すると共に、Google Chat の API を利用して Webhook のボットが専用のスペースへ投稿するように Google へも同じ情報を通知している。ということなので、ここ数年はメールで問い合わせの内容を読むことは全く無くなってしまい、Google Chat のスペースで通知ごとにスレッド化された問い合わせ内容を見ている。実際、個々の問い合わせごとにスレッド化されるため、問い合わせ内容について社内でどう対応するか指示したり議論することがある。メールだとこうは簡単にいかないから、これは一つの業務改善と言ってよいだろう。

さて、そういう状況で Google Chat の通知を眺めていると、たびたび発生するケースとして連続して何度も同じ内容の問い合わせが通知されることもある。これは、同じ問い合わせを数日おきに何度も送ってきて、自分たちのサイトでサービスを紹介してやったから相互リンクしろと言ってくる押し売りとは意味が違う。確かにアダルト業界なら link (access) exchange という風習があるのは知っているが、そういう場合の仁義の切り方というものには作法があるわけで、その手の手順も知らない堅気のチンピラ営業が偉そうに猿真似をするとは不届きにもほどがある。

これは、どのみちクラウド・ワーカーとか呼ばれている人々が小遣い銭ていどで大量のスパムをばら撒いている作業の結果なのだろう。こういう人々は、要するに低料金で仕事をする代わりに手法は問われないため、機械的な作業の大半を本当に機械的に片づけている。よって、問い合わせフォームらしき URL を自動検索で発見するたびにフォームへ所定の情報をペーストしてから送信ボタンをクリックする・・・ような振る舞いをする RPA のロボットを使うわけである。しかるに、検索してリストとしているデータに当社の URL が重複して登録されていたとか、RPA のロボットによるフォームへのデータ送信がレイテンシの都合でタイムアウトと判定されてしまい、やり直しで再びデータが送信されたとか、幾つかの原因で全く同じデータが送られてくる。

しかし、そんな事情も関係なく人がせっせとフォームから送信している場合であっても、同じ情報が二重に送信されてしまう場合がある。それは、実は相当な数の人々がボタンだろうとメニューだろうとダブルクリックする習慣があるからなのだ。これは、実際に統計をとったりしていないせいか正確な割合はわからないのだが、ウェブ・フォームの実装に関する解説の多くが二重送信を防止するためにどうするかという話題を提供していることから考えても、決して軽視できない割合の人たちがボタンとあれば何でもダブルクリックしているらしいと想定できる。もちろん、脚気とかパーキンソン病とか極端な緊張とか、仕方のない症状でダブルクリックしてしまう人もいるとは思うが、そういう症状を持つ人がスパム送信の仕事をしているとは思えない。なお、弊社ではダブル・クリックでの送信を防止するなんて些末な目的のために JavaScript でフォームのイベントを制御するなんてことはしない。

確かに、フォームの送信ボタンとは違う状況だが、僕もウェブ・ページを閲覧しているときに意味もなくページの余白をダブル・クリックしていることがあり、この無意味で頻繁なクリックというのはガムを噛んだり煙草を吸うようなことと似ていて、気分を集中させるために敢えて同時に何かをやるという心理のせいなのかもしれない。ただ、仕事として何かを操作しているときに、操作する対象にまでいらぬ習慣の影響が出るのは、もちろん喜ばしいことではない。

  1. もっと新しいノート <<
  2. >> もっと古いノート

冒頭に戻る


※ 以下の SNS 共有ボタンは JavaScript を使っておらず、ボタンを押すまでは SNS サイトと全く通信しません。

Twitter Facebook