Scribble at 2026-08-02 09:58:45 Last modified: 2026-08-02 16:17:39
上のような僕が Gemini で作った画像は、これまで "#Nano Banana" と表記してきたが、当人(Gemini)いわく「正式名称ではないからやめて」とのことだった。
「多くの家庭で何とか買えるていどのスペックをもつローカル・コンピュータで画像を生成する拡散モデルの AI」という条件で、アニメや漫画などのイラスト CG や写実的な CG(まとめて「画像」と呼ぶ)を得るにあたって、オープン・ウェイトのモデルが広く普及し始めた2022年10月(Runway が Stable Diffusion 1.5 をリリース)以降にリリースされた色々なモデルを使ってきた経緯から、ひとまず現状では次のように考えている。また、この前提で当サイトの画像生成 AI に関する解説や論説を書いていくつもりだ。
まず僕自身は2023年の6月14日くらいに旧マシンへ Stable Diffusion web UI (A1111) をインストールして使い始めた。それ以来、生成した中で大量の画像を削除してもいるから概算しかできないが、少なく見積もっても300万枚以上は画像を作ってきた。僕の旧マシンのスペックだと SD 1.5 で 768 x 1024 ピクセルくらいの画像を生成するのに1枚あたり15秒はかかっていたから、1分で4枚、1時間で240枚、そして平均すると毎日6時間くらいは(仕事は MacBook Pro でやっているが、もちろん一部の仕事にも使いながら)回していたから、1日で1,500枚くらいは作っていたことになる。それから、もちろん全く画像を作らないどころかパソコンを起動しない日もあるから、1年で340日くらいの稼働として計算すれば、2023年の6月から2025年の6月までに、推計で約100万枚である。そして昨年からは SDXL、特に SDXL Lightning のような高速(低ステップ)のモデルや、DMD2 といった高速化 LoRA などを使っていて、1分で20枚くらい生成できる。すると、2025年6月からの1年間だけで約250万枚を生成してきたことになる。
そうした経緯で使ってきたのは、SD 1.5, SDXL, SDXL Lightning, Illustrious, Z-Image Turbo, FLUX.2 Klein 9B, Anima, Krea 2 だ。これらの中で、たぶん最も使用歴が長いのは SDXL Lightning(Runway がリリースしているベース・モデル)だ。これで大量の風景や抽象画や still life(陶器や能面や絵馬など)の画像を作ってきた。また、会社の教材用に挿絵として使う画像も作っている。当然だが、当サイトで落書きなどに添付しているインフォグラフィクスや挿絵などの Gemini や ChatGPT Image などで作成した画像は勘定に入れていない。あくまでも僕のパソコンで生成した画像だけを考慮している。
こういう経緯なり経験があったうえで現況あるいは僕自身の理解を整理すると、Krea 2 や Ideogram、Qwen など、SDXL/Illustrious とは異なるアーキテクチャをもつ新モデルが登場しても、SDXL / SD1.5 派生モデルやその巨大なエコ・システムが急速に廃れることはないと思う。したがって、いま使っている SDXL Lightning のベース・モデル(Juggernaught XL Lightning by Runway など)を手放すつもりはないし、その必要を全く感じていない。その理由として、大きく分けると三つほどある。
第一に、僕の用途が完全にプライベートなものであること。パソコンや iPhone の壁紙として使うとか、当サイトのビジュアル要素(ヘッダー画像やインフォグラフィクスや挿絵など)として使うなら、商業レベルの品質を求める必要はない。商業レベルの品質とは、もちろん印刷用の入稿媒体として納める解像度やサイズであり、A4 なら 350 dpi で 2,804 x 4,093 ピクセルの画像になる。いまのメイン・マシンだったら、アップ・スケールすれば問題なく出せる解像度だが、この大きさとなるとアップ・スケールする前の画像で細部の描き込みが不足するため、解像度を上げても大して美麗な画像とはならないし、フラットな描写のイラストなどでは正確なアップ・スケールが難しくて、逆に曲線が直線的に描かれてガタついたりする。とにかく、そういう巨大な画像を作る理由が僕にはないのである。なので、いま生成しているサイズの画像であれば、最新のベース・モデルを使わなくても画像としての精細度などは十分に確保できる。
次に、Krea 2 や Qwen などは(8ビットなどに量子化されたファイン・チューニング・モデルは)問題なく動くし、それなりに良好な画像を生成してくれるのだが、いまのところ出来上がった画像の品質を比較すれば、SDXL Lightning で生成した風景画などと比べて置き換えても構わないと言えるほどの出来栄えではないと感じる。もちろん、プロンプトによる制御が SDXL よりも正確になっているという点は高く評価できるので、たとえば既に生成した画像を編集する imge2img のような用途であれば、正確に不要なノイズを消すとか、背景を削除するとか、混在している要素を置き換えるとか、あるいはデジタル・カメラで言う「フィルム・シミュレーション」のようにフィルターを通したり Lightroom のようなアプリケーションで編集したような効果を正確に付けられる可能性がある。でも、そのまま出した画像として余談なく眺めると、やはりいまでも SDXL Lightning で作った壁紙の方が(確かに乱雑さゆえの結果だとは言え)端的に「エモい」画像が多い。
そして第三に、ここ最近のベース・モデルはコンポーネントのファイル・サイズが巨大化していて、要求スペックがどんどん高くなっている。オープン・ウェイトとは言っても、それはあくまでも「公開している」というだけの意味であって、誰もが使えるという意味ではない。最低限度の生産性を維持するために、グラフィック・カードのメモリに全てのコンポーネントをロードできるという条件(つまりオフロードしない)で運用するなら、せいぜい VRAM 12~16 GB のグラフィック・カードを搭載したパソコンが必要だ。それでも、いまのメモリや SSD が高騰している状況では40万円前後の価格帯となる。一般的な家庭で買える価格帯としては限界だと思うし、それ以上のパソコンをローンなどで買う必要があるとは思わない。それ以上のスペックで業務用に近い動作環境を求めるなら、それは既にマニアの領域であって、毎月の小遣いが減るということ以外に、なんらかの代償があろう。また、業務で使うなら会社に買ってもらうのが筋であり、いくら自宅のパソコンで事実上の BYOD をしていようと、こんなスペックが必要な業務に使うなら、会社から一定の手当なり補助が出て当然だと思う。いずれにしても、生産性という点で最新のモデル(2025年以降に登場したベース・モデル)は効率が悪いので、画像を大量に出してから選別するというスタイルの運用には向いていない。
それから、これは僕には殆ど関係ない話だが、現実に SDXL、特に Illustrious 系列のベース・モデルが版権キャラのイラストを生成するために使われていることは世界的なスケールでの既成事実となっていて、それゆえに色々な裁判が起きている。これは、今後のオープン・ウェイトなモデルにおいては自主規制が進んでいくだろうし、はっきり言ってジブリのキャラを描けたとしても、そんなことにはリスクしかない(言っておくが、「ジブリのようなキャラ」ではない。特定の描画スタイルに著作権はないというのが法令の正式な解釈なので、結果としてジブリの特定のキャラに似ているかどうかだけが著作権侵害かどうかの基準である。実際、大半のモデル開発企業はこの法理で対抗しているし、僕もおおむね正当だと思うが、スタイルを真似た画像を単に作ることと、その画像を公開すること、ましてや販売することは違う)。
すると、"Yuuki Auna" とか "Kaname Madoka" といったタグだけでアニメの特定のキャラが描かれるというグレーな挙動は(モデル開発企業は、飽くまでも Danbooru や Pixiv などの二次創作のイラストを使っただけなので、そのモデルでイラストを描いても同人誌と同じく容認されるべきだと言うかもしれないが)、これから抑制されていくのは間違いない。すると、そういう「やんちゃ」なことができる最後のモデルが Illustrious や Anima であるということになるのかもしれない。それに、もう既に Illustrious 系列の派生ベース・モデルは大量に出回っていて、世界中の個人が既にダウンロードして使っている。よって、これらを使うこと自体について法的な議論をするのは無意味だ。