Scribble at 2021-01-07 12:38:40 Last modified: unmodified

AがBの必要条件だというのは、Bが成り立つためには、Aが絶対必要、ということだ。つまり、AがなければBは絶対起こらない、ということ。

ピケティ『21世紀の資本』: r>g は格差の必要 or 十分条件か?

必要条件、十分条件、それから幾つかの推論について多くの事例で混乱が生じたり理解し辛いのは、このように論理的な関係と因果関係を混同して扱う人が多いからだと思っている。そもそも、「条件」という言葉を因果関係の原因であるかのように扱う人も多いから、なおさらだ。

ここで、或る数が2であること(A)と、その数が偶数であること(B)との関係を考えてみよう。或る数が2ではないからといって、その数が偶数でないとは言えないのだから、すぐに A が十分条件であり B が必要条件であると分かる。しかし、だからといって或る数が2であることが、その数が偶数であることを〈引き起こす〉などと考える人はいないし、逆に或る数が偶数でないなら、その数は2では〈なくなってしまう〉とか2であること〈をやめてしまう〉などと考える人もいまい。論理的な関係に、因果関係つまりは前後関係などないのだ。少なくとも前後の関係を持ち込むには、時制の様相を公理に加える別の体系を仮定したり、あるいは既存の体系で扱う言明を時制付きの変項を持つ言明に書き換えて、その変項を一定の時間や時刻で束縛できるように書き換えなくてはならない。しかし、どちらにしても時間とか時制についての決定的な論点先取に陥るというリスクが伴い、多くのそうした体系では時間の哲学として未熟なゴミが混じって、使い物にならない公理系となる(実際、どこの国であれ大学の哲学科でまともな道具として教えられている時制論理の公理系など一つも存在しない)。

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