Scribble at 2025-09-25 09:49:50 Last modified: 2025-09-25 09:57:49
当サイトで解説している数学の概念を理解しやすくする工夫の話は、もちろん場合の数と組み合わせも引き続いて検討するのだが、以前も書いたように二つめのテーマとして対数を取り上げようと思っている。
まずプランを書いておくと、対数のわかりにくさの理由は、そもそも教科書であろうと参考書であろうと一般向けの本であろうと、対数を「或る数が底を何乗すればいいかの累乗(指数)」という回りくどい仕方でしか説明できないという事情が示している。この回りくどさが、直感的にどういう数なのかというイメージをつかみにくい理由だろうと思う。そして、対数関数にしても、「指数関数の逆」などと木で鼻をくくったような説明をしている人々の文章など、数学を真面目に勉強したいと思っている人たちは、軽く無視して構わない。そんな説明を論理的だと思いこんでいる数学プロパーや数学教師は、本当は対数なんて正確に理解していないのである(数学者が自分の専門ではない数学の概念を全く理解していないことがあるというのは、実はよくあることだ)。
まず、このように馬鹿げた回りくどい説明は忘れよう。数学をやるのだから、僕らは対数を「数」として捉えるべきである。そして、同じことは指数のように対数と比べたら「分かりやすい」と思われている数であっても同じであり、^^2^3^^ は「2の3乗」という操作(演算)を施したときに対応する一つの数(値域集合の要素)なのだということを正確に理解すれば、対数だって何らかの操作をした末の counterpoint であるという理解ができるだろう。それが「或る数が2の何乗であるかという累乗」という説明だと、それを機械的に procedural な手続きに言い表せないという、はっきり言えば教育者が無能であるという理由だけで、どうしてわれわれが或る特性をもつ数の集合と対応関係について、理解しにくいまま何十年も苦労しなくてはいけないのか。
確かに、^^log_2 8 = 3^^ という具体的な計算をするためには、「8が2の何乗なのか」と問わなくては計算ができない。しかし、だからといって対数が「そういう妙な数の集まりと対応関係」であるという理解で終わってしまうと、対数が出てくるときには常にその面倒臭さだけが生じてしまう。しかし、対数関数の規則性を丁寧に調べると、そういう個々の計算に認められる面倒臭さを超えて、対数という概念の分かりやすい規則性が理解できる。
それは、底が小さくなればなるほど答えが急速に巨大になるという性質である。これは、もちろん指数の特徴を知っていれば分かる話だ。底が100であれば、^^log_{100} 10000 = 2^^ であるのはすぐに分かるだろう。すると、^^log_{100} 10000^^ までは、答えが2以下の数であり、ゆっくりと2に向かって増えることも分かる。これに比べて、底が2だとどうか。^^log_{2} 10000 ≒ 13.29^^ なので、13.29へと増え方が急になるということが分かるだろう。つまり、対数というのは底が大きければ大きいほど、何か或る数についての対数をとるという演算を行った場合に対応する数(値域集合の要素)が小さくなり、或る数が大きくなっていっても値の増え方は緩慢であるという特徴があるというクリアな規則性が理解できることになる。
あとは、色々な条件で実験してみればいいだけだ。そういうことを高校ではやらずに、「指数関数の逆」などと言って済ませるからこそ、そう言われてスルーできる受験秀才(しかし数学を厳密に考える力はがあるとは限らない)にしか扱えなくなるのだ。 要するに、対数のわかりにくさは、数学の概念としての難しさが元凶であるというよりも、理解や説明に関わる「人災」なのである。