Scribble at 2024-02-12 10:04:49 Last modified: unmodified

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Encyclopedia of Global Archaeology (2nd edn., ed. by Claire Smith, Springer Nature, 2020)

「グローバル考古学」という研究分野はないと思うが、こういうタイトルを付けるだけのスケールがあると言っていい著作物だ。文字通り、世界中の考古学者や遺物・遺跡、そして用語を集めていて、この第2版は約11,000ページで、電子書籍版が約90万円、印刷版が約110万円となっている。これ、印刷版だと分冊になるんだろうけど、恐らく10冊以上にはなるのだろうな。ただ、印刷版で納める図書館は殆どないだろうとは思う。もう昨今は図書館も蔵書施設を確保できなくなっていて、institution ライセンスでアクセスするだけだろう。

エントリーを眺めてみると、たとえば日本人名の考古学者として濱田耕作、井川スミス史子(カナダ人)、金関 恕、近藤義郎、溝口孝司、佐原 真、斎藤 忠、鳥居龍蔵、坪井正五郎、都出比呂志、山内清男といった人名が並んでいる。選択の良し悪しには色々と意見があるにしても、100人を選べと言われればどのみち入る人々ではあろうから、それはいい。ただ、他の項目をざっと眺めると、これだけのページ数を費やしていながら、結局は各国の調査で分かった国や地域別の古代の歴史については、殆ど書かれていない。いわゆる研究分野とか調査方法といった概念やメソッドの話が大半を占めていて、そこから何が分かったのかは殆どこれでは分からないだろう。したがって、もし中国の古代史やアフリカの考古学に興味があるなら、100万円を出してまで買う必要など全くないと言える。

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