Scribble at 2020-09-08 07:52:26 Last modified: unmodified

差分プライバシーは、このほどガートナーが発表した "Five Emerging Trends That Will Drive Technology Innovation for the Next Decade" の中にも数えられていて、Microsoft, Apple, Facebook, Google, IBM などをはじめとする「ITメジャー」とか big players と呼ばれる巨大資本が競って解析用のライブラリを発表している。既にアメリカでは国勢調査局が正式に解析手法として導入しており、ガートナーが予測(というか、コンサルやマーケティングや広告あるいは報道機関は、自分たちの関わる商流を焚き付けているだけの場合もあるが)するような private sector での普及が進むかどうかが注目されているらしい。もちろん、学術的に評価すれば差分プライバシーもまた従来の解析手法と同様に、単純な free lunch ではなく、一定のトレード・オフという制約のもとでしか有効ではないのは明らかだ。よって、クリエーティブでクールなものを欲しがる上場企業の自称エンジニアどもの新しいオモチャとして暫く話題にはなるだろうし、IBM を始めとする大規模 SIer の営業道具として便利に使われるかもしれないが、哲学的に言っても、そして IT なり CS の観点から言っても、しょせんは一過性のテクノロジーである。

とは言え、そういうものの積み重ねが技術なり学術の進展なのであるから、軽視したり蔑視する必要はなく、粛々と習得して使いこなし、そして実質的な制約とか理論的な限界を理解したら、即座に alternatives を目指すのが研究者というものであろう。

というわけで、そういう「踏み台」にしてもらうべく差分プライバシーに関連するリソースを集めている。世界中で生半可なアホどもが吹聴するような、安っぽい、そして学術的にも技術的にもロクな理解を与えない駄文を読む暇があったら、有能な若者諸君は、われわれのような人材が集めて提供するリソースを参照し、願わくはクズのようなページを読んだり、クソみたいな本を読んだり、あるいはウンコ同然のセミナーやムービーを見るという時間の浪費を限りなく避けて、真に独創的な成果を(できれば英語で書いて)生み出していただくよう、期待したい。

さて、そういうリソースを集めるにあたっては、個別に評価して bibliography に収めるかどうかを判断していかなくてはならない。そこで困るのが、どれくらいの「言語」で書かれたページや動画などのリソースを対象にするかということだ。英語で書かれたというだけでも、タイとかインドとかの報道リソースが検索にヒットするわけだが、これらを即座に如何わしいものとして忌避するのは、もちろん端的に言って人種差別以外の何物でもない。そもそも、上記で述べたマイクロソフトや Google の CEO がアジア系の人々であるという明白な事実を無視しつつ、アジア系のリソースを胡散臭いコピペか、あるいは日経の飛ばし記事のように扱うのは、単純に言っても失礼というものだろう。

  1. もっと新しいノート <<
  2. >> もっと古いノート

冒頭に戻る


※ 以下の SNS 共有ボタンは JavaScript を使っておらず、ボタンを押すまでは SNS サイトと全く通信しません。

Twitter Facebook