Scribble at 2021-02-03 11:58:43 Last modified: unmodified

伊坂幸太郎氏の小説を読まなくなって、もう何年くらい過ぎただろうか。最後に読んだのは、というか読み始めたのだが放置したままになっているのは、『夜の国のクーパー』だった。それまでは、共作やアンソロジーに入ってる短編を除けば、単行本から文庫本として再刊されたものは殆ど読んでいる筈だ。もともと、連れ合いが『ラッシュライフ』を持っていて、それを読ませてもらったときに感じたスピード感や会話のセンスが面白くて、それからは自分で買い足して読んでいた。

記憶に残っている印象だけで言えば、確か『モダンタイムス』までは熱心に読めた覚えがある。そもそも熱心に読む気がなければ、上下巻の『モダンタイムス』を読了する筈がないからだ。そして、たぶん読んでいて MMORPG で言う〈作業感〉のようなものを感じるようになったのが『あるキング』あたりからだと思う。これまで面白かった伊坂幸太郎の作品なので、とりあえず買った、そして読むという、一種の作業をやってるだけのような気分が出てきたのである。そして、実際に『あるキング』は大して面白いとも何とも思えなかったし、だいたい登場人物から筋書きすら全く覚えていない。野球選手の話だったっけ?

それ以降、だんだん文体もキツく感じるようになってきた。洒脱な会話とされた表現に過剰な〈計算〉が見え隠れするようになって興醒めしてきたし、なにより筋書きがよく分からない作品が増えた気がする。そして、よく指摘される他の作品とのオーバーラップ(他の作品に登場する人物が端役として出てくる)にしても、壮大な世界観を感じるというよりも〈キャラ=設定の使い回し〉にしか思えないという、これまた出来の悪い MMORPG によくある事例のようにも思える。

そういうわけで、『夜の国のクーパー』以降の作品も幾つかは買ってあるのだが、そもそも『夜の国のクーパー』を読み進めたいと思えなくなったので、置いてある未読の作品も読んでいない。

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