Scribble at 2022-02-19 08:48:56 Last modified: 2022-02-20 08:57:45

僕が小学生の頃から不愉快に感じているのは、どうして土日というだけで番組編成が完全に変わってしまうのかということだ。これはもちろん東アジアの辺境国家だけでなく、他の大半の国でも似たようなものだろう。

もちろん、事情があってそうなっているという配信側の理由を幾つか推測するくらいのことは簡単だ。たとえば、土曜と日曜も同じスタッフを従事させるのは昭和時代でも労働法違反となろうから、交代制が必須だろう。しかし NHK の報道担当の職員には予算の都合から抱えられる人数に制限がある。それから、報道とは言っても大半が「ぶらさがり」と呼ばれている記者だとか、あるいは省庁などの一室に常駐している記者クラブの面々、あるいは特定の企業とか証券取引所からしか情報が上がってこないため、政治家や官公庁や大企業などが休みだとネタがないわけである。つまりは、国全体が休みなので、報道も休みというわけだ。

歴史、少なくとも戦争や犯罪の推移を見聞きしている子供の知性や知識から言って、このような実情に強い違和感を覚えるのは自然な話であろう。もとより、世の中で起きている事柄の多くは、曜日や季節や祝い事の風習など関係なしに起きるし、起きるべきである。自衛隊にとって、「敵」が週末だからといって攻撃を控えてくれると想定していいのか。企業経営者にとって、元旦や体育の日なら商売の見通しや予定を考えなくても済むのか。あるいは、医者にとって、土曜日だけ病気にならない民族がいると想定してよいのか。今で言う「エッセンシャル・ワーカー」に限らず、多くの分野・産業・職種において、もちろん個人がぶっ通しで土曜も日曜も働いたり気に病む必要はないとしても、対応し続ける体制を維持できれば維持したいと考えるのは自然なことではないのか。どうして土曜日なら報道する「べき」ことが無いとか、あるいは少ないという前提でニューズ番組を編成できるのか、その大人あるいは事業の責任者としての腑抜けた態度が信じられない。

番組編成の変更に関する違和感は、単にニューズ番組が少なくなるだけではない。それだけではなく、土曜日や日曜日でも1時間ていどの番組を放映しているとしても、その時間帯が週末や祝日だからというだけで別の時刻に変わってしまうのも、僕には昔から不愉快な慣例である。確かに、1日の行動を土曜日も日曜日も同じままで維持するべき理由だって逆にないと言えばないと言いうるかもしれないが、その場合は個人の嗜好や生理的な原因あるいは業種とか生活地域など、色々な事情で、それこそ平日でも月曜日が定休の理髪店や水曜日に休むことが多かった書店など、考慮するべきことがいくらでもあろう。特別に政治家の事情だけ(つまり週末にどういうわけか休むという事情)を優先するべき根拠もないし、理髪店の事情だけを優先して月曜に特別な番組編成にするのも十分な正当化は難しい。よって、最も単純であり合理的で、特定の業界や職種や立場や事情に偏向しない編成の方針は、常に同じ内容の番組を同じ時刻に放映するということに尽きるだろう。

子供にしてみれば、大学くらい出ている大人が、そのていどを考えられないとは思えない。しかし、それができない事情というものがあり、それはおそらく子供なりに考えると「視聴率」の奪い合いなのであろう。時間帯には曜日に関係なく一定の価値があり、18:00から19:00までの1時間が一定の価値をもつ(少なくとも一定の人数がテレビの前にいるという見込み)とすると、週末の当該時間帯にはネタのない報道番組を充てるよりもアニメや料理番組やバラエティーなどを充てる方が視聴率を稼げるというわけだ。そして、そのような視聴率は他の曜日と比べてどうというよりも、競合である他のテレビ局やラジオ局との比較でもあるから、一社が特別なことをやり始めると、他でも追随して別のことを始めなくてはいけなくなる。なにより、ニューズ番組なんて「観たくない」という人も多いし、18時に判で押したようにニューズ番組を観なくてもよくなる(こっちのチャネルは、お笑い番組をやってる!)なら、そちらを観ようという人もいるわけだ。

よって、僕が憤慨してきた実情というものは、確かにわれわれ日本でテレビ番組を視聴している側の生活習慣や見識あるいは嗜好だとか民度によって起きるとも言いうる。テレビ局の側に、「日本人たるもの、そうであってはいけない。18時からは四の五の言わずに、義務教育を終えた大人であれば報道番組を観よ」などと考え無理強いさせるのもどうかと思うし、結局はこちらで土曜日も日曜日も一定の時刻にニューズを観たいと思えば、それなりの対処をするしかない。都合よく、昨今は動画も自由に観られるのはよいことだ。

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