Scribble at 2023-05-10 12:35:29 Last modified: 2023-05-10 13:01:48

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【指定】日の丸自動車学校|東京の目黒・恵比寿で学ぶ自動車教習所

さきほど「日本の教習所サイトの方が色々と手間をかけたデザインになっている」とは言ったが、上記のような見栄えのサイトがアメリカには少ないとしても、これは参考にするようなデザインではない。素人からすれば、これは「きれいなサイト」の一つとして見えるかもしれないが、職業としてウェブサイトをデザインしている人間から見れば、一目でコーヒーを吹き出してしまうくらい笑えるデザインだ。なんでって?

これは明らかにマンションのプロモーション用にデザインされた CMS のテンプレートを使いまわしているだけだからだ。プロのデザイナーなら、一目でそれが分かる。

実際にアクセスしてみると分かると思うが、このキー・ビジュアル(動画の背景を使っている)のすぐ下に囲みのタイトルで「キャンペーン情報」と記載されたブロック要素があるけれど、もうこの金色の二重線でタイトルを囲むという体裁なんて、分譲マンションのサイトで使われている「高級感」を演出するための定番 UI だ。そして、その下に並んでいる「選ばれる理由」として列挙されている項目の無機質さこそ、CMS で吐き出しただけの未熟なデザインに特有の印象なのである。気色悪い! 色々と写真が並んでるけど、デザイナーの感覚としては、このサイトは「ゴースト・タウン」に見える。

では、十歩譲って「マンションのデザインでも良けりゃいーじゃん」という反論はありえるから、これについて言っておく。もちろん、ビジュアルとしてマンション用だろうと教習所用だろうと、ウェブサイトの目的を果たせばデザインとしての問題はないかもしれない。しかし、マンションのブランディングだろうと何だろうと、他の目的のためにデザインされたと思われるテンプレートに教習所のコンテンツを無理やり(あるいはイージーに)嵌め込んでいるために、必然性のないコンテンツや、効果的とは思えない UI がある。その典型は、中央にある学校紹介と思われる小さな画像のリストだ。こんなものをカルーセルで動かして見せて、何の意味があるのか。しかも画像が表現している「シミュレーション室」だとか車の画像にはリンクが設定されていないので、その写真に出ている施設や設備に興味があるとしても、ユーザーには何のアクションもとれないわけである。こんなもんはマンションの抽象的なイメージを並べる演出を何も考えないで再利用しただけであって、教習所の利用者のことなんて何にも考えていないデザイナーのマスターベーションだ。

それからマンションのサイトでは頻繁に使われているインチキ英語をタイトルの下に並べるというバカげた手法も、テンプレートをそのまま使うと同じように踏襲することになる。たとえば、そのサービスや施設の価値というものは、基本的に利用者が判断するものであって、自ら "Our Value" などと押しつけがましく言い張るものではない。これはブランディングの基本であろう。都内の億ションのように、買える人々だけを相手に「どうだ、三井住友でローンでも組んで買って見せよ」と言い張りたいならともかく、高校生ですらバイトで学費を稼いで入ってくる自動車教習所でそんな態度をとるのは傲慢というものである。

最後に、本来ならマンションのサイトでは同じ用途で使われているボタンを、安易に他の目的のデザインで使ってしまっているために、整合性がなくなっている事例が、資料請求や仮申し込みのボタンだ。エンジと青緑の二種類の色を使っているが、ヘッダ部とフッタ部でそれぞれ違う用途に使われているのに、エンジと青緑という対比だけは維持されている。こんな不整合は、ユーザを混乱させるだけである。

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