Scribble at 2024-09-06 11:28:42 Last modified: 2024-09-06 13:28:46
もう10年近くはアクセスしていないが、あの(とは言っても、もう若い人には通じないだろうが)小飼弾氏の読書感想文ブログでも取り上げられていた、チャールズ・ストロスの『アッチェレランド』は、もちろん既に邦訳はされているのだけれど、なぜか早川書店が何年も単行本としてしか発売していないので、SF の古典的な作品として知られてはいても、実はさほど読まれていない。早川書店のサイトで調べると電子書籍にもなっていないから、これは敢えて単行本の在庫がなくなるまで放置されている可能性があり、逆に言えば売れてない証拠だと思う。
僕のように「技術的特異点(シンギュラリティ)」を「IT カーゴ・カルト」だと批判している者にとっても、本作品あるいは『ニューロマンサー』のような作品に登場する設定は興味深い発想だと思う。なので、シンギュラリティのようなアイデアにどういうスタンスをとるにしても、それに関わる論説は手にとって一度は眺めた方がいいと思う。このまえ亡くなった、シンギュラリティの発案者であったヴァーナー・ヴィンジの論説にしたって、古本として手に入れないといけない『SFマガジン』のような雑誌にしか掲載されていないというのも、いまどき奇妙な印象を受ける。これだけ、IT で不老不死だの癌の撲滅だのと(僕にはインチキなベンチャーが遊び金を集めるためのプロパガンダとしか思えない)言っておきながら、その大本のアイデアを展開しているヴィンジの論説を、たとえば『現代思想』のような雑誌に収録しようとしないとか、いやそれどころか、これだけ無断翻訳が大好きな、中国人の悪口など決して言えないほど法律を信用しておらず軽視する民度のくせに、誰も翻訳をオンラインで公表すらしないとか、まったくいけ好かない連中だ。要するに成果としての不老不死や癌の特効薬がほしいだけのクレクレ君や、本物のカーゴ・カルトさながら物資の投下や ODA の送付を待っている後進国の官僚みたいな人々は、仮にそれに近い成果が達成されたとしても、その恩恵には与れないと思う。