Scribble at 2023-11-24 22:03:34 Last modified: 2023-11-25 19:32:59

マスコミはたいてい鼻先にぶら下げられたネタや、たまたま周囲で騒がれている話題に飛びつくだけという作業を「ジャーナリズム」などと称する傾向があるわけだが、その典型と言ってもいいのが、台湾で「天才 IT 大臣」などと騒がれては自伝まで出版された人物だ。当人が LGBTQ だったというキャッチーな事実も手伝って、安っぽい言い方だが「彼」は時代の寵児として一時期の(実は誰が騒いでいたのか定かではないのだが)英雄となった。

僕も、彼がコロナ禍の時期に何か台湾で政策を実行したりアプリケーションを開発したらしいという話は聞いたことがある。ただし、僕は実はその人物の名前を覚えていないし、何をしたかも正確には知らない。彼が何をしたのか「覚えていない」のではなく、そもそも報道そのものを軽視していたので知らないのだ。コロナ禍にあって感染者情報の集約なり管理システムだとか、あるいは情報を整理したり提供するためのアプリケーションやフロント・エンドなんて、本当に国際的なスケールでニューズを眺めていれば、たいていの国で誰かしらが開発していたのだ。その所要時間が数時間であるか数日であるか数週間であるかは当人の能力によって変わるのだろう。それはそれで、能力としては大したものである。

でも、ソフトウェアやサービスだけでなく政策というものも、そういう途中経過や開発工程のパフォーマンスだけで評価できるものではない。それは、日本全国で中高生や三流大学の学生が続々と「数時間で開発した」と自信満々に SNS で紹介していたゴミクズのようなコロナ情報サイトの類が、そういうサイトの情報源であり、なおかつそういうサイトを宣伝していた SNS の情報収集や情報伝達でのパフォーマンスを絶対に超えられなかったという厳粛な事実からも分かる教訓だと言えるだろう。

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