Scribble at 2023-07-28 12:27:57 Last modified: 2023-07-28 12:41:06
ホットな分野には研究者が集まってくるとは言われるが、NLP や機械学習にも同じことが言える。上記は、画像生成 AI の基礎になるアイデアとして有名な Transformer の論文(Vaswan, et al, "Attention Is All You Need," 2017)が出た Conference on Neural Information Processing Systems (NIPS) の論文集だが、昨年度のアーカイブを見ると量だけでも圧倒される。そして、著者の大半が中国かアメリカの研究者であることにも、やはり圧倒させられる。日本の研究者による submission は、皆無ではないがきわめて少ない。ChatGPT を行政や企業のサービスへ「活用」するなんていうユーザ視点の投資だけじゃなくて、やはりこういう基礎の研究にも投資が増えることを望みたい。そして、そのためには、「プログラミング教育」なんていう付け焼き刃のパフォーマンスが優先のオモチャ教育をやるんじゃなくて、しっかり数学と英語を教えることに時間とリソースを使ってもらいたいと思う。
そして、子供を IT で金持ちにしたいとか考えてる親は、やはりコンピュータの使い方やコーディングよりも大切なことを子供に提供した方がいいということだ。パソコンがうまく使えるだけのザッカバーグやラリー・ペイジといった人々が、スキルだけで金持ちになれた時代は、もう終わっている。それこそビル・ゲイツが育ったような、そもそもコンピュータに触れられたのが一部の金持ちだった頃ならともかく、もうコンピュータなんてスマートフォンを始めとして、周囲にいくらでもある。アフリカや南米の奥地ですらスマートフォンで通信して殺し合いをしてるくらいだ。
ユーザとしてパソコンやスマートフォンが使えるなんてことは、まさにデジタル・ネイティブという言葉があるとおり、当たり前のことであろう。更に、プログラミングなんてものも実は大して才能とか数学の知識なんて必要ないわけである。そうなると大切なのは、そういうテクノロジーとは別の脈絡で革新していく実践側のアイデアか、あるいはテクノロジーの基礎において革新していく理論側のアイデアのどちらかだ。そして、サービス側のパワー・ユーザや開発側のコーダといった、どちらの側であろうと凡庸なところで勝負しても仕方ないわけである。