Scribble at 2022-08-31 07:45:05 Last modified: 2022-08-31 07:45:12

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真庭市と住民、同志社大が今秋から同市北房地域で始める荒木山西塚古墳(市史跡)の発掘を前に、岡山県内外の考古学者らで構成するワーキンググループが29日、発足した。全国でも珍しい「市民参画」による調査の計画や手法について指導助言し、学術的水準を確保する。

市民参画の古墳発掘 助言します 真庭、考古学者らのグループ発足

埋蔵文化財行政として遺跡の調査発掘(工事などで行われる緊急行政発掘ではない、学術調査を目的とする発掘)に回す予算は、どこの自治体でも少ない。よって、大学や地域の外郭団体などが中心となってやっている。昔は教育委員会が主催していた事例も多かったが、もちろん教育委員会なんて教育も文化も理解していない、いまやクズ役人の掃き溜めみたいなものになってしまった組織に発掘を指揮する能力も知識も気概もない。おおよそ現在は、各自治体で埋蔵文化財を担当する部署や外郭団体が担っており、その実務は発掘を専門とする業者が担当していることも多い。こういう中で、地域の住民に協力してもらおうという発想は、教育を初めとする他の行政サービスでも事例が増えている。ただし、岡山県のようにアマチュアが大学院生レベルの知識や素養をもっている特別な自治体は例外だと言ってもいい。岡山には日本で最大の会員数として5,000人を超える、「考古学研究会」という団体があるくらいで、ここは特別と言ってもいい。

このようにプロパーでない地元の人々が発掘の主体となったり、調査に協力する活動を、最近では "community archaeology" などと言ったりする(これと似た表現で "public archaeology" という言葉もあるが、これはほぼ「アウトリーチ」と同じ意味だ)。いまのところは、〈選択肢としてあるべき一つのアプローチ〉なのか、それとも行政の予算という事情に照らして〈仕方なく出てきたアプローチ〉にすぎないのかは、よく分からない。しかしなんにしても、放置していれば遺跡なんて続々と破壊されて情報も遺物も失われるわけなので、アプローチとしての是非を議論している余裕はないというのが行政や学界の実情だろうと思う。

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