Scribble at 2025-08-10 09:20:44 Last modified: 2025-08-11 10:06:50
この話題も基本的なところで歪んだ前提や発想が議論や思考を歪めていると思うのだが、このところ日本の土地を中国人が「爆買い」しているなどと言っている人々がいて、『産經新聞』のようなメディアまで事実であることを前提に悩んだり憤慨して見せているわけだが、マスコミの裸踊りなんて戦前から戦後まで信用に値しないわけで、まずは事実を調べてみよう。
まず、日本の国土は圧倒的に森林と農地で8割弱が占められており、住宅地や工業用地や商業地は1割ちょっとである。そして、それら森林と農地については、外国資本が所有している割合が 0.04 % ていどという統計があるため、少なくとも日本の国土が外国資本、しかも中国人の企業に所有されているなどという事実は全く無い。しかし、量的にはそう言えても、質的には外国資本が水源地や安全保障上の重要地域やリゾート地を所有している例は増えている。また、不動産投資の市場においても外国資本の占める割合が3割を超えていて、外国資本が日本の不動産取引(しかも商業的に重要な土地の取引)に介入する割合が増えていることは事実と言って良いだろう。ただ、これはビジネスとして考えたら自然なことであり、たとえば観光地の土地を買い占めてホテルや娯楽施設を建てることなど、日本人だろうと中国人だろうとブラジル人だろうと、資金があって儲けたいなら誰でもやることだ。
そして、仮に中国系の企業や個人が日本の(経済的、軍事的、あるいは文化的に)重要な土地を買っていることが事実だとして、それを懸念するというのであれば、その矛先は何かの政治的な策略があるかどうか分からない中国人に向けるよりも、寧ろ明白に経済的な理由で外国人に売ってしまう日本人にこそ向けるべきであろう。もちろん、僕はそもそも政治的な意図があるという証拠などない経済活動について、日本人だろうと中国人だろうと活動を制限しようなどということ自体、いったいどっちが社会主義国なのかと言いたくなるような発想だと思う(いや、もともと日本は実質的に官僚社会主義国家なわけだが)。軍事的・地政学的・文化的に重要な土地であろうと、本当に国家として守るべき土地であるなら、当たり前のことだが取引を届け出制などで規制するだけではなく国が優先して買い上げるべきであろう。