Scribble at 2024-07-21 12:28:33 Last modified: 2024-07-26 17:14:37

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体操女子で19歳の宮田笙子選手が飲酒と喫煙を認めてパリ五輪代表を辞退した問題で、所属先の順天堂大は19日付の声明で「常習性のない喫煙であれば、本人の真摯な反省を前提に十分な教育指導をした上で、出場することもあり得ると考えていた。辞退という結果には、本人が負う社会的ペナルティーの重さへの懸念から、誠に残念な思い」と異論を唱えた。

所属先の順天堂大、宮田笙子のパリ五輪辞退に異論 「社会的ペナルティーの重さ懸念」

なんだか嫌な話だよね。僕はアマチュアリズムなんてとっくに無くなってるオリンピックなんて、ただの商業主義で、いたずらにナショナリズムを助長するだけのスポーツ・イベントにすぎないのだから止めてしまえばいいと思ってるんだけど(なくなっても世界陸上とか他にも大会は色々ある)、ひとまずその話題は脇へ置いておこう。それでも、この話題に怪しいものを感じるのは、この順天堂大のコメントが被害者意識を演じているように見えるからだ。日本の社会学者が大好物にしてる、「排除型社会を糾弾する」という姿勢を匂わせて他人を差別者であるかのように道徳的に恫喝するという言動に似ている。もちろん、差別は不当で不合理な愚行だと思っているけれど、こういうことに関係があるかのようなニュアンスを示唆して、相手の主張を牽制したり怯ませるという言動は、はっきり言って「正義」を名乗って他人を殴るような連中と同じだ。よって、タバコを吸ったくらいでオリンピックへの出場を非難するのは排除の思想であり、ひいては差別と同じ態度であると言わんばかりの雰囲気を作り出す。すると、こういう発言に対抗できるのは無知無教養なネトウヨしかいなくなる。これでは、まったくウンコとゲロのどちらを食うかという話でしかなくなる。

繰り返すが、未成年者の喫煙と飲酒は端的に言ってただの違法行為である。そしてオリンピックの選手だろうと清純派アイドルだろうと東大生だろうと、いくら未成年者飲酒禁止法や二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律で罰せられることはないとしても(どちらの法令も、違反した本人を処罰する規定はない)、違法行為には違いないのだからペナルティがあるのは当然だろう。もちろん、オリンピックへの出場をやめさせることは誰にもできない。しかし、これは女の子一人の問題ではないように思う。

僕は、子供の頃は色々な漫画を読んだりアニメを観ていたから、それほど深刻には思っていなかったけれど、しかし日本ほど非行少年や犯罪者をヒーローとして描く国はあるまいという気がする。いや、それどころか官公庁のキャンペーンに、人殺しを繰り返しているガキの漫画を採用するなんて、海外の人たちからすればクレイジーとしか言いようがないだろう(政府広報×東京リベンジャーズ「成年年齢引下げ」キャンペーン)。そして、こういうときにもよくあるのが、「あの漫画は、ほんとうは友情や愛を表現していて云々」という、先の落書きでも書いた、動機や目的が純粋だったり「良さげなこと」なら、そのためには何をやっても許されるという、日本の凡俗に特有と言ってもいい「自分で自分の悪辣さや陰湿さや杜撰さや無能さに免罪符を与える神父」のような態度だ。飲酒・喫煙していた選手がどうなろうと、そんな些事はどうでもいいが、話はそんなことだけにとどまるものとは思えない。

そういうわけなので、話題になっている選手について特別にどうこうと SNS で他人が擁護する必要もないし、重ねて吠える必要なんてないわけだ。そういうことは、個々の事案について言えば重大事とも言えないわけだし、放っておいてよい。

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