Scribble at 2023-10-30 12:34:17 Last modified: unmodified

添付画像

数日前に、英文法の参考書なんて大多数の高校生は受験用の薄い本だとか予備校のテキストしか読んでおらず、書店でどれほど多くの「名著」が復刊されて発売されようと、大半の人々にとっては縁遠い話であろうという主旨の議論をした。たとえば江川泰一郎氏の『英文法解説』は数日で手早く通読しただけでも優れた本だということが分かるけれど、それはおそらく英語教師や英語で仕事をしている人間にしか分からないことであろう。そういうわけで、マニアやプロパーが「名著」と言っているだけの参考書を読んでいないことに何か後ろめたいものを感じる必要は全く無いと思う。しょせん、そういうものを読んでいようといなかろうと、生活や仕事に支障がなければ、ひとまず英語で生活していると胸を張ってよい。そもそも、アメリカ人の 99.99% は、当たり前だが江川氏の『英文法解説』を読んではいないのである。

もちろん、その手の「名著」が英語マニアや教師のノスタルジーによって評価されているだけの代物であるからといって、軽視したりバカにしているわけではない。僕も、英語で仕事をしたり学術研究に携わる一人として、こうした多くの参考書に学んできたし、これからも手放せない。なんだかんだ言いつつも、僕はこういう英文法の参考書を10冊以上は読んで所有している。その中には、上の写真でご覧いただくような洋書としての文法書も含まれている。

もちろんだが、このような文法書は一定の水準で英語を読み書きできなければ読めないのだから、中学生や高校生が手にとって読むようなものではない。どう考えても、日本の中高生は定評のある日本の参考書で学ぶことが優先である。ただし、おおよそ英検で準二級ていどの力がついてきたら、こういう本も自力で読めるようになる(だいたい、辞書無しでこの手の学習用の本が読めるようになれば、逆に英検準二級くらいだと言える)。また、そのくらいの力がつくと、こういう本に出てくる "active"(Collins の方は "active voice" と表記している)が日本の参考書で「能動態」であるという対応関係が付けられるようになる筈だ。最初から英語だけで学んでいる人にとっては無用の知識だが、日本で英語を学んでいる人には、こういう対応関係が付けられないと、英文法について日本人が何を言っているのかが分からなくなるという皮肉な状況になってしまう。

  1. もっと新しいノート <<
  2. >> もっと古いノート

冒頭に戻る


※ 以下の SNS 共有ボタンは JavaScript を使っておらず、ボタンを押すまでは SNS サイトと全く通信しません。

Twitter Facebook