Scribble at 2023-04-11 13:50:59 Last modified: 2023-04-11 16:19:40

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"craze or rage of traditional wet shaving was over in 2019 around" というテーゼを掲げている、幾つかの状況証拠(というか、この手の議論は状況証拠しかないのだが)を示してみよう。上記は Google Trends で検索した結果だ。ちなみに、欧米では「『007 スカイフォール』での髭剃りシーンがきっかけでブームが起きた」と言われていて、実際に2013年から2014年にかけて検索件数がピークを迎えている。もちろん、これだけではブームの推移について語るには不十分だ。こういう話題の映画で知られるところとなった straight razor を調べてみた人は大半が素人なので、その結果として traditional wet shaving を始めた人が増えようと減ろうと、検索結果の数がそれ以降の結果を先んじて示しているとは限らないからだ。検索しなくても、親から子へ、そして友人同士で情報が共有されて、検索なんてしなくても straight razor に親しむ人が今も増えている可能性だってある。検索の件数の動静だけで物事を理解したり、ましてや公に何か事実の推移であるかのように説明するのは、非常に危険なことだ(逆にそういう理解や書き方をしてしまう人たちを広告業界や政府が間接的に利用することも容易くなる)。

でも、僕はこれ一つで traditional wet shaving の推移を理解したり語っているわけではない。他のソーシャル・メディアやオンライン・サービスや出版傾向なども踏まえて、ブームは去ったと判断していて、再びブームとなるようなきっかけがあってもいいし、それは否定しても意味がないのだけれど、ストレートの剃刀を使って髭を剃る人が自然に増えるなんてことはありえないだろうと思う。当然ながら、市場が小さくなるので、いわゆる artisan のシェービング・ソープやブラシや剃刀の手工業や産業全体が衰退するのは当たり前であろう。

で、僕がこういう議論をしているのは、もちろん髭剃りについてストレートの剃刀を使おうとしている人の意欲を削ぐためではない。希少価値をつくって、たかだか先に手を出したに過ぎない人間が権威を気取ったところで、実力や見識がなくては無意味であろうし、そんなオタク競争なんて生活の一部である髭剃りにおいては大した影響などあるまい。どのみちカートリッジの安全剃刀や電気シェーバで剃るのが最も手軽で早いのは、理容師も含めて誰でも知ってる常識だからだ。寧ろ、「いま始めたら YouTuber になれるかも」みたいな、スケベ根性で始めるような手合いを牽制するためだと言った方が僕の動機に近い。

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