Scribble at 2025-10-03 15:10:23 Last modified: 2025-10-03 15:14:37
アラン・クーパーの UI デザインに関する、かなり体系的にまとまった本が翻訳されている。先日、出社したときにジュンク堂で見かけて、原著は10年前の出版だけれど、内容は大半が現在でも通用する。要するに UI/UX やユーザビリティなどについての原理原則を議論しているからだ。もちろん、中には原則として通用しなくなっている内容もあるとは思う。それは、通信技術やハードウェアなどの性能向上によるところがあろう。たとえば、デザインの対象をデスクトップとモバイルなどに大別しているようなところは、今日ではナンセンスに近いと思う。既に Apple Vision Pro などを始めとする VR 環境を考慮すべき時代に到達しているし、一口にモバイルと言ってもタブレットからウェアラブル・デバイス(スマート・ウォッチなど)に至るまで、一貫した UI デザインや UX デザインが通用するとは限らないからだ(通用する「べき」という思い込みから、「通用する」と考えてしまうことも、デザイナーが避けるべき危険の一つであろう)。
でも、そこで最初に原則として提案された事情とか背景を考慮すれば、同じことを別の機能や場面に置き換えることは可能かもしれない。そして、そういうことを考えるのが、後進としてデザインの世界に足を踏み入れたプロの責任と言える。そういうことをしない人間は、どれほど美しい絵をタブレットで描き、複雑な計算で美麗な背景をゲームに展開していようと、「デザイナー」とは呼べない。もちろん、過去の成果の蓄積をインチキ保守みたいに推し戴くことなど不要であって(それは、保守思想家である僕らが保証する)、過去の成果は受け継いで利用・消化して乗り越えるためにあるのだ。たいていの伝統芸能にも言えるが、過去の古典的な成果をコピーしているだけの人間は、ただのコピー人間でしかないのだ。