Scribble at 2022-01-20 09:27:30 Last modified: 2022-01-20 09:51:48

JR 天王寺駅のターミナル・ビルは、現在は天王寺 MIO(プラザ館)という商業ビルに様変わりしているが、昔は「天王寺ステーションデパート」という建物だった。僕が小学生の頃に、PTA の会合を終えた母親と食事に立ち寄ったり(たいていは冨士屋という店へ入り、母親は鴨南蛮、僕は暖かい山かけ蕎麦が定番だった。入店すると常に同じ食事しかしない異世界の客ばかりが来る食堂のアニメ番組があるが、あまり他人のことは笑えない)、あるいは母校の制服を扱っているテーラーへ足を運んだり、あるいは何度か中二階にあったペット・ショップでセキセイインコを買って帰ったこともある。

どういうわけだか、その昔のステーションデパートについて思い当たることがあって調べていると、昔の写真を投稿してくれというサイトを見つけた。運営者の情報など一切なく、ユーザ登録すると写真を投稿したりコメントを付けられるようだが、すでにコメントはバイアグラの宣伝でいっぱいだ。そもそも、投稿されたと称する古い写真の大半は、ソース・コードを見ると国立国会図書館から直にリンクしている〈さくら〉であり、本当に一般のユーザから投稿された写真があるのかどうかは怪しい。ドメインの登録者情報では、このサイトの(少なくともドメインの)管理者は谷町2丁目にある IT コンサルを自称する事業者のようだが、まぁそんな些事はどうでもいい。

その写真投稿サイトも似たようなものだと思うが、零細事業者が、専門でもなんでもない中古車やマンションの情報をかき集めたサイトを運営して、フッタに都道府県名を書き並べるといった、原始時代の「アクセス・アップ」を今でも続けていることなんて、特に珍しいことではない。この手の自称 IT コンサルにしてもそうだが、ヘタレ事業者というのは〈自分よりもさらにレベルが低い〉人々がいることで、情報の非対称性を利用してつまらないレベルの知識を小出しにして儲けている。行政の怠慢とか親の未熟さのような外部要因もあるにはあるが、おおむね自分自身の堕落によって下方圧力が有効にはたらくこと、つまりレベルの低い人たちの多くに限って自ら学ぼうとしないという実情を利用して、こういう BOP とも言えるサービスが成立する。世の中が愚劣で堕落している事実にフリーライドしているわけだ。みんなが意欲を出して学ぶようになれば、こんな連中がもってる知識やスキルなんて大半が必要なくなるわけで、商売が成立しない。

天王寺ステーションデパートに話を戻そう。ここには、駸々堂書店も入っていたのだが、やはり周辺の競合だった旭屋書店やユーゴー書店といった大型の書店に比べると、いささか規模に劣っていたため、天王寺ステーションデパートへ立ち寄るついでに足を向けていただけであった。他にもいろいろな店が入っていたのは覚えているが、かなり弱い印象として残っているのは、とにかく通路が狭いということだ。身長はもちろん高い方だったが(後ろから二番目くらい)、それでも小学生の感覚で狭いという印象が残っているのだから、大人にしてみれば更に狭いという記憶が残っている人もいることだろう。

それから天王寺駅と言えば、実は僕にとっては「東口」の方が頻繁に利用した経験があって愛着はある。現在は MIO の中に改札があるけれど、昔はもっと道路側に改札口があった。そして、改札を出てから目の前を通る「あびこ筋」に沿って北側を歩くか南側を歩いて、小学校まで通っていたのである。尤も、この道路は特に北側が酷い放置自転車で道が異様に狭かったため、たいていの同級生は東口の前にある横断歩道を渡ってから、北側よりも歩道の幅がもっと広い南側を国鉄の職員らしき人々と一緒に歩いて小学校へ通っていた筈である。

なお、天王寺ステーションデパートで使えそうな画像を探してみたが、公のサイトでパブリック・ドメインと同等の扱いになっているものはない。たいていは誰かの撮影した写真を無断でブログ記事に貼り付けている事例か、オリジナルの写真を画像として公開している(もちろん当人が著作権をもっている)事例なので、ここではご紹介しない。

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