Scribble at 2023-06-12 23:40:53 Last modified: 2023-06-12 23:56:38

グーグル検索して分かるような内容に関してチャットGPTはやる気が無いのか適当な回答をする事が多く、質問者のレベルに合った回答、もっと言うと回答のレベルが低いという事は質問者のレベルも低いというのを如実に表しているだけに過ぎない。過去に安倍総理が憲法学のクイズをしていた議員に対して「そういうのやるんだったら憲法学の講義でやってくださいよ。自分で調べればいいじゃないですか」と反論していたが、GPTも内心そう思っているのだろう。

公明党代表「チャットGPTに存在しないと言われた」発言でネット賛否両論

この手の議論って、熱心に読み漁ってる人や書いてる当人も、俺たちは最先端技術をフォローしてるぜ、いえーみたいな錯覚に陥ってるんだろうと思うけど、その結果が上記の記事の後半に出てくるネトウヨやポピュリズムの稚拙な擁護ではどうしようもないわけである(人治主義あるいは徳治主義とも言うが、政治学のテキストの1ページ目にすら書いてあるような基礎を知らないと豪語するというのは、イデオロギーの問題ではなく政治家として単なる恥である。また、いまとなっては確かめようもないが知らない人間とは違って、データだけならもっている筈の GPT の「内心」などと比較するレトリックも無意味だ)。

公明党の代表を擁護する意図はないが、サービスというものは原則としてフール・プルーフで設計されなくてはいけない。一般のユーザへ開放するなら、日本人だろうと中卒だろうと誰でも入力するような質問に答えてこそ、民生化・商業化としてのインパクトがあるのだ。プロンプトのプロだけが使っていればいいなら、そもそもオープンにリリースするべきでもないし、そうするメリットもない。だって使えない人が使っても、こうやって否定論や慎重論や規制の話が出てくるだけであり、それこそひろゆきやホリエモンや田端何某の劣化コピーであるクリエーティブ・ゴーゴーと叫ぶしかなくて何の公的な実績も出していないリバタリアンの若造プログラマにとっては、逆に窮屈な状況になるだけだろう。

それに、この手の新しいサービスが出てくると必ずと言っていいほど、素養があろうと的確に使えようと、先に使っているというだけの人間が最先端のユーザであり正しい使い方を知っているみたいな御託を言い始めて、インチキなコンサルとか自称「ChatGPT 専門家」とかが日経BPだの翔泳社から愚にもつかない本を書いたりするんだけど、僕に言わせればそういう連中こそリリースされたサービスやシステムの想定する反応や手順にまで、率先して思考や議論やライフスタイルを変形できる人であるにすぎないんだよね。或る意味では合理化にもなりえるけれど、たいていにおいては短絡化であり、AI が吐き出す回答に「正解」があるという思い込みもさることながら、それを導き出すための「正しい質問」の方法があると錯覚している時点で、そういう人間はせいぜいどこまで行っても IT サービスの生体部品にすぎないと思うね。

よくこの手の話を進化論と一緒にして、「これからの企業はすばやく最適化できないといけない」なんて、言っちゃったりするんだけど、次々と出てくるサービスにいちはやく飛びついて末端ユーザになるってだけのことだろう。もちろん大半の愚にもつかない凡人が経営する企業はそれでいいし、凡人なんてそうする他にないだろうけど、少なくともベンチャーを名乗ってる企業でそのポリシーはないね。こういうのも、進化論の「進化」という概念を、だんだん良くなっていくことだと錯覚しているからなのだ。

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