Scribble at 2024-01-12 13:02:09 Last modified: 2024-01-14 09:49:02
アーロン・スワーツが亡くなって11年だという。彼のストーリーは YouTube で公開されている。
https://www.youtube.com/watch?v=9vz06QO3UkQ
それから、翻訳が以下のページで読める。
https://cpplover.blogspot.com/2013/01/aaron-swartz.html
ひとまず日本語訳はドワンゴの江添亮氏の訳しかないので挙げておくが、なにも manifest だからといって文語調の欽定訳みたいな調子にしなくてもいいのにと思う。
ただ、このていどの文書すら翻訳しようという人が他に殆どいない国でオープン・アクセスや著作権の反対という活動に携わってる人々って(山形浩生氏のような有名人から、かつて『道草』という違法翻訳サイトに参加していた自称翻訳家どもも含めて)なんなんだろうって思うんだよね、あいかわらず。口先だけかよ。あるいは金やコミュニティでの名声やゼネコン社内での業績に結びつかないと何にもしないのか。恥知らずな連中だ。
ちなみに、著作権などを理由にぐずぐずと翻訳しない言い訳ばかりしてる人々に申し添えておくと、この文書は既に public domain である。英単語くらいは辞書を引けるだろうから、以下のページを見るとよい。
https://archive.org/details/GuerillaOpenAccessManifesto/page/n1/mode/2up
で、ここまで書いておいて俺がなんにもしないというのも癪なので、これも今年の課題として翻訳を掲載することにしたい。
[追記] (↑)公開。https://www.markupdancing.net/archive/20240112-141400.html
こんなもん、英語で寝言をつぶやくと豪語している山形浩生氏でなくとも、大学院さえ出ている人間なら数時間でやれるようなことだ。なお、解説はこれから書くのだが、もちろん僕はマニフェストに無条件で同意しているわけではない。特に、訳していて "private theft of public culture" は言いすぎだろうと思う。僕は、わずかな期間でも雑誌の出版社にいたという事情もあるが、そこまで出版社や出版事業を非難する必要はないと思う。
もちろん、その逆に賛成できる点もある。たとえば、行政文書などは著作権が最初から設定されていないのだから、これにアクセスする商売は全て悪である。たとえそれが情報を整理してわかりやすくする付加価値だなどと言おうと、そんなことは必要なら誰かが好き勝手にやるし、やらなければ自分でなんとかするのが権利というものの本質だ。誰かに、ガキがおかゆを口へ運んでもらうように貰うのが権利ではないのだから、こういうマニフェストに賛同して活動する側も甘えは許されない。
更に、これはプライバシーマークを運用している企業の人間としては微妙な話になるとは思うが、僕は JIS や ISO/IEC の規格書もオープンにするべきだと思う。彼らは既に監査事業で莫大な利益を得ており、規格の作成にかかるコストを監査費用や認証費用に含めてもいいはずだ。そして規格書をオープンにすれば、本来ならアクセスできなかったはずの企業や個人がアクセスできるようになり、規格の内容だけでなく監査を受ける趣旨についても理解して監査を受けたり認証を受けるインセンティブがあると判断するかもしれない。実際、一部の規格は無償で公開されている。彼らは認証を受けた企業が少数のままであることに依存して、その希少性で何か利益を確保しているわけでもあるまい。そして、認証を受けている側の企業も、自分たちのもつ認証が一部の企業の保有であることにだけあぐらをかく意図もないだろう(いまどき ISMS やプライバシマークだけで入札基準が決まるような案件などない)。単純に言えば、全ての事業者がプライバシーマークや ISMS をもつようなことになると、いったい誰が困るのかとすら思う。したがって、いまアクセスしていない人々にも気軽にアクセスできることが望ましく、その最も効果的な手段は、規格書をオープン・アクセスにすることだと言いたい。ISMS でも、ISO/IEC 27001:2022 という最新版の規格書(英文)は、25,000円ほどする。書籍として考えると、中小企業がおいそれと稟議を通せるような値段ではないだろう。仮に投資として考えても、ISMS の場合は他にも国内の翻訳された規格書だとか、具体的な管理策が列挙されている 27002 も必要になるので、認証を受けることが目的なら更に費用はかかる。現状だと、こういう規格で認証されることを企業としての目標に設定するべきかどうか、中身を気軽に確認することすら難しい。日本語版だと安くなって5,000円前後で購入できるが、これでも零細企業や個人事業主には負担となるはずだ。