Scribble at 2025-08-25 08:14:03 Last modified: 2025-08-25 08:23:08
無料版の Microsoft Office、つまりはブラウザで動作する Microsoft 365 のアプリケーションには、いまのところ致命的な問題があって、デスクトップ・アプリケーションと同じようには使えない。その問題は、レイアウトに全く互換性がないということだ。Excel や Word 形式で作成されたファイルというものは、だいたいにおいてデスクトップ・アプリケーションを使っている人物なり組織が作成しており、これをブラウザで安く扱おうとしても、そんな都合のよいことはできないわけで、やはり相手の都合に合わせて月額料金なりライセンス料金を払ってデスクトップ・アプリケーションを使わなくてはいけないようになっている。これは、既に国際産業規格としてオープンになっている OOXML や ODF の問題というよりも、それらを「実装」しているマイクロソフトの問題であろう。たとえば、ファイルとして扱うときは国際規格に準拠しても、それをアプリケーションでどのようにレンダリングするかは自由だからである。その(有料の)アプリケーションで開かなければ正しくレンダリングされないように実装しても、何の違反でもないのだから、ファイル形式において「オープン」だの「規格準拠」だのを謳っていても、実質的には特定企業のアプリケーションでしかまともに扱えないようにすることは可能だ。同じように、Microsoft は独自の Linux 環境を Windows のサブ・システムとして使えるようにしていて、これを Linux への歩み寄りだなどと報道している愚かな IT ライターは多いわけだが、あんなのは実質的に「マイクロソフト製の Linux」でしかプログラミングできない環境を「オープンに」開発者に押し付けるものでしかない。たいてい、独裁者というのは民主主義者や「庶民の味方」という仮面を被って振る舞うものだ。
こういうわけで、たとえばプライバシーマークの更新審査に使う文書として公開されている Word ファイルなどは、ブラウザの無料版 Office で開いても、まともな編集ができない。根本的にレイアウトが崩れてしまって、それらを修正する工数だけで無駄な時間が何日もかかるからだ。なので、企業で MS Office 形式の文書を扱うなら、OpenLibre や OpenOffice どころか(これらの開発元は Microsoft 365 のアプリケーションをリバース・エンジニアリングする権利はないので、結局はどう処理すれば同じ挙動になるかという「物真似」をしているにすぎず、内部処理は完全に当てずっぽうでシミュレートしているだけだ)、マイクロソフト自体がリリースしている無料版の Microsoft 365 すら使い物にはならないのである。