Scribble at 2021-02-28 13:22:22 Last modified: 2021-02-28 13:28:50

このところアマゾンでは、★4、ペーパーバックとハードカバー、英語という条件で価格が安い順番に並べて、色々なジャンルの安い本を探している。もちろん、買うものも多いが、ウイッシュリストへ入れたり、カートへ入れた後で「後で買う」のリストに退避してあるものもある。すぐに読んだ方がいいものや、すぐに買わないと、再びこの値段で売り出されることはあるまいと思えるようなものは買う。しかし、そういう本だけでも実際にはかなりあるため、とりあえずという理由だけで買うと高くつくし、置き場所にも困ってくる。

もちろん、本なり資料というものは是々非々で読んだり利用するものではあろうが、どれを読んだり利用するべきなのかを、とりわけ専門的な本やニッチな話題の本となれば、誰も教えてはくれない。よって、自分で読んでみる外にはないのだが、内容についてぜんぜん事前に情報がないとなれば、もう後は穏当な方針で、有名出版社の本かどうかとか、それなりに名前が知られている人物の本かどうかとか、大学の教員が書いているかどうかで判断したり、あるいは端的に言って書名やリードが面白そうかどうかという、穏当には思えるが妥当とは思えない理由で、要するに自分が読みたいかどうかで判断する他にない。もしかすると間違うかもしれないし、実際に何度か間違ったことがある(論理学の本だと思ったら、素人のデタラメな疑似ポストモダンのエッセイだったとか)。ただし、ありがたいことに、それなりの高等教育を受けると、少なくとも買った自分が後悔するようなカスやクズを掴まされるリスクは格段に落ちる。ただ、それゆえにだろうか、国内で出版される哲学の本を殆ど買わなくなるという事実は、何か同輩として情けないと思えてくるのも確かだ。

こういう間違いが生じる可能性を考えると、やはり金銭的な余裕がない場合には、興味深い本が安く買えるチャンスを有効に使いたいというのは、人情というものだ。そして、そういう事情だけで本を読むわけではない(高額な本であっても図書館に置いてあれば読めるし、どうあっても読む必要があれば買っている)限り、さほど何らかの偏りが生じるかどうかは自明でもないため、そういう人々が世界中で実際に同じような方針で安く本を買って何らかの成果を出すというコミットメントが数多く繰り返されることでも、何らかの貢献になればよいのだろうと思う。ただし、僕が強調している「成果」とは別にオンラインでドキュメントを公開するといった活動だけではなく、もちろん第一義としては自分でものを考えるための糧にするということだし、会社で同僚や部下に何かを教えたり伝えることや、家庭で家族と会話する際に情報として紹介したり教えるという場面も含む。それこそ、以前から PHILSCI.INFO で書いているように、学術雑誌に論文を掲載することだけが知的営為の継承や伝播のチャンスではないし、それだけでは実は不十分なのだ。

  1. もっと新しいノート <<
  2. >> もっと古いノート

冒頭に戻る


※ 以下の SNS 共有ボタンは JavaScript を使っておらず、ボタンを押すまでは SNS サイトと全く通信しません。

Twitter Facebook