Scribble at 2024-07-02 10:27:51 Last modified: 2024-07-02 10:29:19

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光ディスク事業の見直しについて、ソニーグループ広報は、「コールドストレージ市場の成長が想定に届かず、ストレージメディア事業全体の業績は赤字が継続し、収益性の改善に向けて事業の体制を見直す必要があると判断した」と説明。

ソニー、録画用BDの生産を段階的に終了へ。「当面の間は販売を継続」

僕らは前世紀の終わり頃から一般家庭でもパソコンを使うようになって、記録メディアというものを色々と使っている。もう30代以下の人でフロッピー・ディスクを常用していた人は殆どいるまいと思うが(特殊な製造機械をメンテナンスしながら業務に使っているような場合は除く)、知識としてそういうものがあったと知っている人はいることだろう。いまどなってはスマートフォンのゲームで使う保存データすら入らないであろう、3.5 インチで 1.44 MB なんていう容量を大切に扱っていた。僕は1995年頃に富士通の卓上ワープロ専用機を使って修士論文などを作成していたのだが、その機種はフロッピー・ディスクが記録メディアだったから、何枚分かに分割して修士論文を保存したことがある。それから、CD-R やら MD やら DVD-R と移り変わって、現在の家庭用という条件で見た記録メディアのトレンドは Blu-Ray ディスク(BD)ということになる。

ただ、この記録メディアそのものが使われなくなってきているというトレンドがあって、それは要するに業務でも家庭でもクラウド・ストレージが普及しているからだ。ランニング・コストはかかるが、頭を抱えるほどの料金でもない。たとえば、僕はいまデータ保存用に外付けの SSD ドライブ(2 TB)を使っているが、代わりに iCloud+ の 2TB プランを契約しても、月額料金は $99.99(約1,600円)だ。アフリカや南アジアの最貧国に住んでいるならともかく、日本で生活が苦しくなるような値段でもないだろう。こういう、手軽に大容量のストレージが利用できるようになると、物理的な媒体として積み上がっていく記録メディアを使い続けるべきかどうかを考える人が増えてもおかしくはない。そして、更に家庭用のパソコンでも記録するデータの量が増えているし、一つのデータの容量も大きくなっている。クラウド・ストレージであれば、不要なファイルだけを削除すれば済むが、物理的な記録メディアではそうもいかない。整理して、焼き直さなくてはいけなくなる。

これに加えて、実際に Blu-Ray を使っている者として言わせてもらえば、Blu-Ray はいまだに記録の失敗が多すぎてドライブの信頼性が低いと言わざるをえない。僕が使っているのはパイオニアの外付けドライブで、USB 3.5 で接続するからデータの転送速度にも問題はないはずだが、僕は怖くて 100 GB のメディアを使う気にはなれない。50 GB でも何度か書き込みに失敗しており(いったんモノリシックな ISO ファイルを作成して一気に書き込むという安定した手順を踏んでいてすら、失敗する)、それなりに安定して書き込めるのは 25 GB のメディアだけだと思っている。この信頼性のなさが、なんだかんだと口コミで広がっていて Blu-Ray の普及を留まらせているのではないかと思う。それに、もはや最大でも 100 GB という容量ですら足りないと感じる人が多いであろうという予想もつく。僕も、自宅では生成 AI で出力した画像だとかダウンロードした論文の PDF や SingleFile のような拡張機能で保存したウェブ・ページなど、毎月のように数十ギガバイトの単位でデータが貯まっていく。コスト・パフォーマンスとしても決して良いとは言えない、おまけに書き込みの信頼性が低い 100 GB のメディアなんて論外だし、25 GB メディアとなると、毎週のように焼かなくてはいけなくなる。

もちろん、次世代のメディアについても興味はあるけれど、いくら記録容量が1枚で 1 TB などと増えたところで、ドライブやメディアのコスト・パフォーマンスは重要だ。

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