Scribble at 2023-05-24 09:36:37 Last modified: 2023-05-24 09:46:20

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日本姿勢科学学会とは

いま髭剃りの各論として「姿勢」というテーマに取り組んでいるという話は、もう何度か書いてきている。実に色々な分野で取り上げられていて、ひとまずスタンダードな研究分野としては、運動生理学、リハビリテーション医学、労働安全衛生などがある。もちろん、理容師の養成機関や職業団体でも調べたり研究されたり議論されてはいると思うのだが、業界内のセミナーとか専門学校の講義だけでは不十分である。他の分野の研究者や僕ら素人も「社会」というチェック機関の一つであり、そういう第三者の評価を受けない議論や考察は、どれほど蓄積されていても公共の資産である「知識」とは認められない。もちろん、馬鹿におもねってものごとを通俗化する必要はないが、情報なり成果を公にしなければ、利害関係や労働環境の制約などによる系統的な誤謬や偏向を避けられない(たとえば、理容業界で蓄積されているシェーヴィングの知識や技能は、あくまでも他人の髭を剃るためのものであり、自分で自分の髭を剃るという観点が欠落している可能性がある。僕が当サイトで「シェーヴィング」という従来の言葉を使わずに "La pogonotomie contemporaine" というフレーズをわざと提唱しているのは、それが理由だ)。

で、関連する分野とか知見を学べるようなチャンスなり文献なりオンラインの情報がないものかと探しているわけなのだが、みなさんもご承知のとおり医療や理容・美容にかかわる話題には、まず詐欺師が大勢いるし、悪意がなくてもデタラメな思い込みや未熟な経験談を「理論」だの「思想」だのとばら撒いているバカもたくさんいるし、おまけに「科学」を名乗る本物の医療関係者の団体すらある。上記の日本姿勢科学学会についてはどうだろうか。まず最初に書いておくと、「一般社団法人」という物々しいフレーズに圧倒される人がいて、何か国が認めた特別な権限がある団体であるかのように錯覚してしまう場合もあるようだが、一般社団法人というのは手続きさえ整えたら株式会社と同じく誰でも設立できる非営利の団体にすぎない。学術研究の団体としてまともかどうかなんて認定も保証もされていない。実際、かなりインチキな同好会レベルの自称学術団体やカルトと言ってもいいような連中だって一般社団法人として非営利事業を展開している。もともと、僕らは整体とかカイロプラクティックのようなものはヨガや漢方や占いや卑弥呼の雨ごい儀式のようなものだと見做しているわけなので、何か効果はあるかもしれないが、本人たちもメカニズムが殆ど分かっていないか調べようともしていないせいで、その効果のあるなしが分かるまでに著しく長い時間がかかって非効率な処方だと思っている(場合によっては逆効果になったりするのを知っている)。実際、中年になってヨガなんて初めても、それのおかげで何か効果が出るまでに、たいていの人は死んでしまうのだ。おまけに、だいたいそういう人は他にも同時に色々なことをやっているので、他にやっていることで成果が出たに過ぎないのを、雨ごいやヨガやイワシの頭を拝んだおかげだと勘違いしているわけである。こういうのを、科学哲学という分野では "prima facie cause"(見かけの原因)と呼んでいる。

正直なところ、公に accept された論文を一つも公表していないという一点だけでも、このような団体がカイロプラクティックのインチキ施法業者と大同小異であることは明白だと思う。「姿勢科学に関する研究・論文発表」というページはあるが、ただの1本もその「論文」とやらがどういう雑誌に採択されて公表されたのかを書いていない。これでは、住吉の小学生が「おれ、ヒカキンと GTA でチームを組んだことあるわ」とか言ってるのと変わらない。せめて PubMed の URL を数本は掲載するべきだろう。え? PubMed って何ですかだって?

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