Scribble at 2026-05-02 11:10:39 Last modified: 2026-05-02 11:18:41

添付画像

インターネットの速度が遅い原因は多くの場合帯域幅とレイテンシーにあるとの指摘

おそらくは機械翻訳を使っていて、しかもコンピュータ・サイエンスや通信工学の知識が全くなくて記事を書いてるんだろうと思うけど、そういう素養がある人からすれば、タイトルだけで胡散臭い記事だと分かる好例だよな。ちなみに GIGAZINE の記事は(たいていそうなのだが)ソースのメディアから許可を受けた翻訳記事ではない。たぶん、「話題として元の記事を取り上げて紹介している」という体裁で著作権法の網からは逃れているということなのだろう。もちろん、僕も違法だとは思っていないが、かつての NAVER まとめサイトと同じ程度の「やんちゃな商売」であるとは思う。

まず簡潔に述べておくと、「レイテンシ」とは通信工学において、クライアントよりリクエストをサーバへ発した時からサーバよりレスポンスがクライアントへ届くまでの所要時間のことだ。そして、どういう通信であろうと0秒以上の有限な時間が絶対にかかるのであるから(無限の時間がかかる場合は「通信」とは言えない。リクエストが相手にすら届かないからだ)、どんな通信であってもレイテンシは計測できる。よって、レイテンシを「遅延」などと呼ぶこと自体がナンセンスである。彼らが実質的に翻案のソースとしている ACM の記事を英語でちゃんと読めば分かるとおり、"Latency is how quickly (or slowly) data shows up."(レイテンシは、データがどれくらい速く、または遅く表示されるかを表す)と正しく書いている。当たり前だ。著者の David Collier-Brown は Samba の本を O'Reilly から出していたこともある、システム・プログラマだった人物だ(「システム・プログラマ」というのは、OS やドライバなどハードウェアに近いシステムを書くエンジニアのことである)。

それから、GIGAZINE の記事がおかしいのは通信が遅いと感じる原因を帯域幅「と」レイテンシにあるとタイトルに書いていることだ。これも、元の記事をちゃんと読んでいないことによる誤読も甚だしい。ACM の記事では通信が遅い原因の大半は帯域幅「ではない」と言っているからだ。そして、もちろん先ほども述べたように、あらゆる通信はレイテンシが有限時間だけかかるので、「レイテンシが原因である」という表現は無意味だ。それはまるで、「通信に有限の時間がかかるのは、通信に有限の時間がかかるからだ」と言っているのに等しいからである。これも、元の記事を英語としてちゃんと読んでいれば "That is a pure software problem, and it is called high latency."(これは純粋にソフトウェアの問題であって、それは高いレイテンシという問題なのだ)という文が何を言っているか分かるはずだ。

  1. もっと新しいノート <<
  2. >> もっと古いノート

冒頭に戻る