Scribble at 2023-10-02 08:46:19 Last modified: 2023-10-03 09:52:21

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カメムシの研究が専門の伊丹市昆虫館の、長島聖大 学芸員によりますと、ことしは杉やひのきの実などのエサが豊富で成長した個体も多く、その一部が都市部に移動し、明かりに集まる様子が目立って目撃されている可能性があると指摘しています。

カメムシ 全国的に大量発生 都市部でも その背景と対策は

このところ夜間はエアコンがいらないほど涼しくなってきたから、ベランダの戸を開けてみたら、虫が入ってきて蛍光灯へ体当りしている。連れは見慣れているらしく、すぐにカメムシだと分かった。そうしているうちに、なぜだか大人しくなって蛍光灯の近くで天井に腰を据えたまま、朝までゆっくりしていた個体もいる。NHK の記事では、餌が豊富で成長した個体が多かったとのことだが、結局はそれも元を質せば10月に入るまで最高気温が30度を超える日が多かったからではなかったのか。ということで、こういう話が出てくると「異常気象」だの「温暖化」だのと言って済ませてしまうことも多々ある。

しかし、なんでもかんでも温暖化だの異常気象だのと言っても、単に社会学者と同じく珍しい現象に名前を付けているだけにすぎない。メカニズムが分からないと、観察だけでは学問なり科学の議論にはならないので、もう少しカメムシの増えた事情が分かるとよいのだが、こういう個別の現象は難しい。なぜなら、個別の現象であるから記録を残すのが難しいからだ。個別の現象だと、前もって何が関連しているのか推定しておくのが難しいので、前もって「これを測定して記録しておけばいい」という予想が難しい。ぜんぜん見当違いな条件を測定しているかもしれないからだ。そうすると、手元に残った記録からだけで無理に原因を特定したり推移を想像しなくてはならなくなり、説明としてはいかにも「科学的」だが、実際にはデタラメということがいくらでもある。

そういうことを、少なくとも可能性としてであっても指摘しておくのが、科学哲学に携わっている者の責任であろう。

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