Scribble at 2026-10-30 20:15:58 Last modified: unmodified
『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』という作品の設定で多くの人が興味をもちながらも詳しい経緯が不明なままとなっている、二つの大きな話題がある。もちろんそれは、佐々木がどうして遠野先輩と破局したのかということと、佐々木が4年前にどんな大失態を会社で引き起こしたのかということだ。
遠野先輩の件については、当サイトで公開している論説でも少し言及しているように、ラーメン屋の前で田山を誘おうとして思いとどまるシーンで、思い上がって相手を詮索した結果として破局に至ったかのような内心のセリフが書かれている。これが遠野との経緯を表しているかどうかは確かでないものの、仮にそうだとすれば手がかりの一部にはなるだろう。でも、佐々木が元気商事の本部で起こした失敗については、4年後の現在でも社内において語り草となっていることが描かれているくらいだ(そして、社内懇親会での噂話を鈴木が敢えて打ち消すような挙動を示す)。よって、具体的な経緯は全く不明のままだ。しかし、この一件があるせいで、佐々木は本部に足を向けることを恐れたり、あるいは仕事についても積極的になることができないでいるらしいということが分かる。そして、その姿を見ていた田山が怒って「佐々木さん、出禁」というエピソードへと展開したりするわけだ。
要するに、佐々木の思考や行動を縛っている原因の一つであるにもかかわらず、その具体的な経緯が不明であるがゆえに、筋書きを後から都合よく制御したり軌道修正するための便利なブラックボックスのように使われてしまっているという批判が成り立つ。実際のところ、これはどのような大失態だったのだろうか。
一つの仮説を立てるために、佐々木が面倒見の良い人物であり、お人好しに近い人柄であるという描写が何度も繰り返されていることがヒントになるかもしれない。たとえば、新入社員や派遣社員のような会社との結びつきが弱い人物にすら、ベテラン社員として重要なことを教えてしまい(たとえば経理のロッカーはいつも鍵が開けっ放しになってるとか)、その新入社員か派遣社員に法人用のクレジット・カードを盗まれて使われてしまうという事件が起きたとかだ。佐々木のような人物が、たとえば得意先の決裁権者を怒らせて元気商事が取引停止にされるなんてことは考えにくいし、はっきり言えば営業マンなんて一度や二度はそういう経験をしているものだろう。失注だの取引終了だの、あるいは売掛が回収できないだのといったていどのことで大失態などと言っていたのでは、世界中の営業マンが辞表を書かなくてはいけない。逆に言えば、そんなことくらいで仕事を辞めるような人間は、最初から営業なんて向いていないし、何年も携われないのである(まぁ実際に鬱病で辞めていく人は多いわけだが)。