Scribble at 2023-02-01 18:08:20 Last modified: 2023-02-02 10:20:03
さきほど Hacker News にシェアされていたエッセイを読んでいたのだが、地元の小さなレストランが倒産している一方で、ケータリングや出前サービスを利用しているレストランは儲かっているのだから、リモート・ワークが経済に悪影響を与えるなんて錯覚ではないのかという意見がある。もちろん、一方では失敗しても他方では成功してるから、行政は余計なことをするなという話になるわけで、こういう議論をしている人の大半はリバタリアンである。
今回のような事態に至って、即座に出前サービスを利用し始めた飲食店は大きな影響を受けずに営業を続けられた。結局は、そういう店が市場で勝利することこそ「経済学的な正義」の実現であり、何も手を打たずに行政が福祉だ手当だと助けてくれるのを待つだけの事業者は、ありていに言えば無能が経営しているのだから、市場から出て行ってもらった方が世のためなのだというわけである。
しかし、僕にはそういう議論こそ単なる結果論でしかないと思える。結果として生き残った事業者こそが生き残るに値していたのだなんて理屈は、ただの同語反復でしかない。生き残るために(違法なことも含めて)何かやったものが生き残るがままに任せればいいなんてものは、社会政策でもなければ社会思想とも言えまい。単に行政の邪魔をして弱肉強食(いや、本当に何らかの意味で「強」だから勝つのかすら分からない)を寿ぐだけの野蛮人の理屈だと思う。