Scribble at 2020-04-21 19:26:05 Last modified: 2022-10-03 16:07:17
マスクの緊急生産をやって販売にこぎつけたのは大したものだが、これはいくら何でも困った話だ。何回も購入できないように会員制としたのは分かるが、まさか家電の管理サーバと同じセグメントでアクセスを受けるなんて、プロとしては正気の沙汰とは思えない。
だいたい、決済代行の API を利用して多重購入を防ぐというだけであれば、政府からの要請でマスクの生産が始まった3月24日の時点でも、個人向けに SHARP COCORO LIFE での注文販売を予定していると報道されていたのだから、既にオンラインでの販売は決まっていたのだろう。とすれば、1か月で独立した回線のサーバを立てて注文を受け付けるフォームを作ることくらい簡単だった筈である(どのみちアクセスはシャープも利用者側も膨大な数が集まると誰でも予想できたろうから、無暗に強力な構成をとる必要はない)。ただ、H 社の案件で僕が大企業のイントラ・サイトを開発したときに感じたことだが、トップがいくら外国人になったところで、実務サイドに落とし込むプロセスに時間や手間がかかるという、大企業病なり官僚的な体質は変わり様がない。それは、カルロス・ゴーンのやっていたことが結局はスタンド・プレーだったという事実でも同様に分かるだろう。
敢えて言うと、こういう事例によって IoT の電化製品としての脆弱性が明白になったという意味では、或る意味で良い結果だった。そもそも、僕は電子書籍リーダーにしても「電気がなくなったらケツを拭く役にすら立たない」と言っていたのだが(とはいえ蔵書をそういう目的に使ったことはない)、IoT 家電はそれに輪をかけてネットワークが切断されると起動すらしないという非常に脆弱なものであることが、改めて多くの人に知られることになった。