Scribble at 2023-03-22 12:43:10 Last modified: 2023-03-23 07:13:01

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海外でも straight razor を検索すると、特にハンド・メイドでは非常に多くの「ダマスカス鋼を使った剃刀」というのが出てくる。そして、たいてい髭剃りや straight razor のマニアやプロのサイトやフォーラムでは常識となっていることなのだが、いわゆる「ダマスカス鋼」の剃刀は高額なだけで大して品質が優れているわけでもないインチキ商品である。なぜなら、本当のダマスカス鋼は博物館に置いてある文化財にしか使われていないからだ。そういう文化財の分析をもとに再現したと称する鉄鋼についても多くの研究者からは疑われていて、製法はいまだに学術的にも分かっていない。ましてや、その辺の刃物屋とか鍛冶屋がどれほど奇麗奇麗なウェブサイトで広告しようと、彼らにダマスカス鋼を再現するだけの知識(語学力も含めて)や技術は、全くない。いま市場にあふれている「ダマスカス鋼」をうたった商品は、オリジナルがもつ波紋のような模様を真似ただけのインチキ材料を使った装飾品であり、見た目が似ているだけで「ダマスカス鋼」と称している包丁とかナイフとか剃刀なのである。そんなもので料理したり、あるいは髭を剃ってみても、それなりに技能をもつ人が研いだ百均の包丁や二束三文の剃刀と大差はない。なんでこういう商品の広告が「優良誤認」として景品表示法第五条第一項違反にならないのか不思議なくらいだ。

で、そういう優良誤認を誘うページとかブログ記事の大半が、まず本来のダマスカス鋼(ウーツ鋼)の歴史を解説して、いかにも現代の(見た目だけの)模造品にすぎない包丁や剃刀が本物のダマスカス鋼と関係がありそうな印象を読む側に与えるんだけど、こんなインチキは電通と仕事をしている僕らには何の効果もない。

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