Scribble at 2022-10-02 10:17:22 Last modified: 2022-10-02 10:24:27

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島津製作所によると、メディカル社の熊本営業所の社員が2016~18年、X線撮影装置の保守点検の際に、一定期間が経過すれば、回路を遮断してX線を照射できなくなるデジタルタイマーを設置していた。故障を装って有償で部品を交換しており、被害額は計750万~1000万円程度に上るという。健康被害は確認されていないとしている。

島津製作所子会社、一定期間過ぎた装置をタイマーで故障させる

かつて、Sony 製品は一定の年数で買い替えてもらうよう3年で故障するように製造されているという都市伝説が生まれた「ソニー・タイマー」という言い方があった。Sony が本当にそんなことをしていたのか、それとも Sony 製品が単純に MTBF の短い安物の部品を作ったり、コンパクトな製品を作るあまりに精密だが耐久度の低い部品を使っていたということから勝手に想像されただけなのかは分からない。

でも、原理原則の話として言えば、あらゆる民生品の製造物は最初からロクな品質で作られてはいない。「ものづくり」だなんだと言われていようと、軍事用ですら耐久性には一定の限界があるというのに、安く大量に製造して売りさばくしか利益の出ない民生品に耐久性なんて十分に(設計においても製造においても検品においても)確保されているわけがないのだ。

もちろん、そうは言っても Walkman が1年で故障するのは困るし、ノート・パソコンを3年ほどで次から次へと買い替えるのは、多くの企業にとって重大な課題だが、しかし Walkman が20年も使えるとかノート・パソコンを10年も使えると期待するのも(その間の技術的な進展を考慮すればなおさら)おかしな話であろう。それゆえ、10年や20年では変わらない価値を提供する Zippo のライターとノート・パソコンとを単純に比較して、買い替え需要を促進するパソコン業界の陰謀なんて馬鹿話をしても意味がないのだ。

しかし、上の話は全く別であろう。これは意図的に機能として組み込まれた「仕様」である。もちろん、医療用の機器であるから、フェイル・セーフという原則を考慮すれば仕様として一定の期間あるいは一定の使用回数によって〈念のため〉機能を停止させて点検を促すという仕組みになっていても、おかしくはない。医療機器の場合は、一部の機能だけが中途半端に動作するような状況を続けるのは良くないだろう。報道での「X線撮影装置」がレントゲンだとすると、胸部が片方しか正しく映らないままレントゲンを使い続けるなんてことは論外であろうから、そうなる故障率が一定の閾値を超えて高くなるよりも前に機器を計画的に止めてしまうという仕様になっていてもおかしくはない。

でも、そういう仕様になっていることは JIS のように規格として求められていなくても商品の説明や契約書に記載するべきことであり、故障を装って結果的にフェイル・セーフにしていましたなどと言われても、それは詐欺というものだ。こういう場合に聞かれるセリフが「良かれと思って」などという屁理屈、糞理屈である。とりわけ、日本とか呼ばれている辺境国家では、動機が純粋だったり善意であれば、その結果が中国や韓国への侵略戦争だろうと元首相の暗殺だろうと正当な、あるいは少なくとも同情を得る言い訳になると思い込む人間が、殺人犯だろうと企業経営者だろうと昔から実に多いという印象がある。

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