Scribble at 2024-04-03 08:25:24 Last modified: 2024-04-03 11:10:51

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「5分から10分の充電で満タンのガソリン車くらいの距離を走れなければ、EVにはガソリン車と同じレベルの需要はない」と言われるのと同様に、生成AIも能力面でまだまだ問題を抱えているからで、それは一朝一夕には改善しない。

正直、AIは実用に耐えるレベルではない…企業が「結局は人間がやらざるを得ない」と導入をためらうワケ

まさにこのとおりで、現在は過剰で投機的な資本が集まっているせいで盛況ではあるけれど、そういうマネー・ゲームをやってる連中なんて、本当のところ AI で何ができるかできないかなんて、どうだっていいのだ。そういう連中が湯水のように金を放り込んでいる事業については、もちろんそれだけの投資を集めるに足りる理由がある巨大なプロジェクトもあるし、実際に NVIDIA が次世代のビデオ・カードを開発するには巨額な資金が必要なのだろうけど、僕らはどうであれ「で?」と問うだけだ。昨年も書いた話を今年も繰り返すのは残念なことかもしれないが、「AI で最適な抗癌剤を見つける」なんて話がテレビで放映されていたのは、もう10年も前の話だ。もちろん、新しい薬を生成するなんて話ではないにしても、既存の薬から選ぶという処理ですら、殆どの病院に普及していない、はっきり言えばカスみたいな絵に描いた餅にすぎなかったわけで、いま医療系の AI からは投資が引きつつあるらしい。

そして、今回が第何次のブームなのか(科学哲学者としてすら)数えたり調べる必要すら感じていないけれど、今回の大騒ぎも数年ほどで終息すると思われる。でも、これまでのブームとは違って一般のパソコン・ユーザにとっても色々な恩恵があったのは事実だ。AI で癌を治すといった世迷言に始まり、あの、昔懐かしき(そして初めて提唱したヴァーナー・ヴィンジも、ついさきごろ亡くなったわけだが)「シンギュラリティ」なんて妄言を吐き続ける人々のことは忘れてもいいが、僕らは今回のブームのお陰で、パソコンに新しい効用なり使命を見つけることができた。それは年賀状を印刷するだけではなく、年賀状のメッセージを代わりに書かせられるようになったのだ!

・・・と、ここまではいささか皮肉や当てつけや冗談を交えているわけだが、真面目な話として企業の管理系部門でリスク・マネジメントを一つの管掌としている人間から言えば、もちろん AI を業務で利用する際の注意事項などは今年中に社内へリリースしておきたいとは思っている。ただ、やはりそこでのポイントも AI ではなく人である。どのサービスなら安全といった話でないのはもちろん、「安全な」サービスがどこかにあるとか、われわれのような真の IT 人材が数億円かそこらの小遣い銭ていどで開発してくれるとか(日本という国の助成金なんて、そんなもんだ。アメリカや中国と比べて桁違いに少ない)、そんな妄想は抱かないことだ。そして、AI で売上が伸びるとか上場できるなんてのも、度し難い錯覚である。だいたい、歴史を知ってる人間なら分かるはずだが、意思決定理論、あるいは OR のような分野でもいいが、いったい何十年前からやってると思ってるんだよって話だ。OR なんて、いまだに 99.99% の企業では完全に無視しているではないか。

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