Scribble at 2021-10-09 10:23:57 Last modified: 2021-10-09 10:30:44

添付画像

中沢恵、池田和明『キャッシュフロー経営入門』(日本経済新聞出版、1998)

ビジネス書の単行本は、もう残り少ない。いや、あと残っているのは『企業価値評価(上・下)』とか『コーポレート・ファイナンス(上・下)』のように大部の本が多いため、今日から暫くは以前に棚を紹介した新書を読み通していくつもりだ。

初回は、上記の2冊に目を通した。新書なら、1日どころか午前中だけで2冊ほど読める場合もある。そこで、右のもう一冊も書誌情報を紹介しておく。

笠巻勝利『セールス・トーク入門』(第2版、日本経済新聞出版、2001)

https://www.amazon.co.jp/dp/4532014220/

両方とも概説だけなので、おおまかにそれぞれのテーマを知るだけの用途でしか役には立たないが、概略を知るには良い本だった。どちらも対象とするテーマについて、具体的で詳細な説明が多く掲載されている。なんでどちらも絶版なのか不思議なくらいだ。特に、上記の『キャッシュフロー経営入門』は、どのみち財務会計の専門的な本なら同じていどに詳しく解説が書いてあるだろうから、概略を得た後は手放してもよい本だとは思うけれど、そのまま手元に置いてもいいくらいの手堅くまとまった良書だと思う。

これに対して『セールス・トーク入門』は、営業テクニックを具体的に色々と書いているのはいいが、かなり著者の思い込みが前提になってしまっている説明があって、それなりの分量で修正したり調整しなければ使えないアドバイスや説明がある。これまで数多くの営業マン(こういうのはヤローの感覚だと思えるので、敢えて「マン」と言っておく)からアプローチされて、たぶん合計で500人以上の人々による単独あるいはチームとしての訪問を受けてきている中小企業の部長職として言わせてもらえば、営業の場でシモネタを言うのが当然であるかのように書かれても困るし、こんな話題はベテランになったらしてよいというものではないだろう。また、相手の家族について話題を切り出す手法などは、言われる方にしてみれば、はっきり言って不愉快しか感じなかった。これも、営業トークとして当たり前のネタであるかのように思われては困る。相手に失礼かもしれないことを言って、失礼だと分かったら謝るというやりとりを「印象づけ」のテクニックだと思っているなら、元営業マンとして言わせてもらうが(下記で書いているように実務経験は2週間くらいしかないが、そのていどの期間でも分かる人間には分かることがあるのだ)、それは大きな間違いだ。

それから『セールス・トーク入門』で紹介されているトークの実例が、どれもこれも会話として胸糞悪くなるような日本語の文章だ。いくらテンプレートみたいに書いているだけとは言っても、こんなフレーズを本当に営業の現場で使ったら、たぶん9割方の見込みで相手を不愉快な気分にさせるだろう。2週間ていどしか実務経験はないが、2週間ていどでも渋谷の会社で営業に携わったことがある身としては、本書の内容は流し読みなら少しは参考にしていいとしても、これを精読してプロトコルを作るやつは営業として無能だと思う。

  1. もっと新しいノート <<
  2. >> もっと古いノート

冒頭に戻る


※ 以下の SNS 共有ボタンは JavaScript を使っておらず、ボタンを押すまでは SNS サイトと全く通信しません。

Twitter Facebook