Scribble at 2024-09-27 17:09:52 Last modified: unmodified

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ところがこの「反事実仮想分析」では、見えない潜在金利にもとづいて企業が行動したらどうなるかをシミュレーションしているのだ。これは「何もしなかったら42万人死ぬ」でお笑いネタになった西浦博氏の論文と同じパラレルワールドのお伽話である。

日銀の書いた「西浦論文」の反事実仮想パラレルワールド

「反事実仮想」というのは、専門家はみんな知ってることだが、僕の専攻する科学哲学で半世紀以上も前に議論が始まった "counterfactuals" とか "contrary-to-fact conditionals" と呼ばれる、事実に反する仮定を置いた推論のことである。ただし、言語学でも "subjunctive conditionals" などという構文として扱われてきた経緯があるから、科学哲学だけが論じてきた話題ではない。

これが他の分野に応用されるようになると、たいていは過去の出来事に反する内容を仮定して何かを語るという、歴史ファンタジーのネタとして非常に雑な議論の道具として扱われてきた。そして、そのお墨付きを科学哲学が与えているなどと言う馬鹿もたくさんでてきて、残念ながら最近の通俗統計学の本でも似たような程度の低い議論が横行するようになってきている。

counterfactuals は NHK の歴史ファンタジーとか、過去の出来事で資料が不足しているテーマについて小説家やインチキ歴史ライターや芸能人が繰り広げる与太話とは全く関係のない概念である。そもそも、counterfactuals の前件と後件は論理的な関係だけなので、時間の前後関係は求められていない。

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