Scribble at 2022-05-25 08:48:42 Last modified: 2022-05-25 08:52:05

TransferJetコンソーシアムは、60GHz帯を用いた超高速近接無線通信「TransferJet X」の規格化が完了したことを発表した。10Gbpsを超える超高速近接無線通信として、大容量データの転送などにおける活用が期待される。

10Gbps超の超高速近接無線通信「TransferJet X」、規格化が完了

関連する記事として紹介されている、スタパ斎藤氏が古い規格の「TransferJet」のアダプタを使った話の記事を読む方が面白いという、かなり皮肉な記事だ。そして、スタパ斎藤氏には気の毒だが、彼の弄繰り回しているものも含めて、こんな高速通信の規格が続々と出てきても、たぶん人類の文明とか文化とか学術にとって、殆ど何のインパクトもないだろうなぁと思う。

僕は、それこそ通信のパフォーマンスを「ボー(baud)」という単位で呼んでいた頃からコンピュータの通信ネットワークでやりとりされるコンテンツなり情報を利用しているが(正確には、ボーは bps のようなデータ転送のレートとは違う概念だが)、それから40年以上が経過してデータの通信速度は劇的に速くなったけれど、相変わらずバカはバカだし、国家は戦争や愚かな施策を繰り返す。要は、情報をやりとりするスピードの遅いバカが速いバカになっただけのことなのだ。コンピュータの処理性能やストレージの容量なんて、社会が良くなったり悪くなったりするようなことと殆ど相関関係なんてないのである。

そして、それゆえに僕らは歴史を学ぶ必要があるし、続々と新しく社会に参加する若者が過去の愚かな人々が陥った過ちに最新の技術やガジェットで同じように落ち込む〈最新のバカ〉にならぬよう、どうやって教育・啓発したらいいのかを考えなくてはならない。あるいは、そういう教育や啓発に失敗した場合は、彼らを実質的に公的な要職や会社の経営などから排除する社会防衛の(可能なら差別にならないような)仕組みとか、あるいは或る種の「文化」(実は娯楽や芸術を初めとする文化も、それに対応して金や時間を使う人たちを篩にかける巧妙な制度の一つになりえるというのが、まともなポストモダン批評がもたらした成果の一つだ)を洗練させなくてはならない。

こんなことは当たり前すぎて書くのも気恥ずかしい話だが、iPhone を手にしたり 5G の契約をしたくらいで、人が善良になったり賢くなるわけがないのだ。

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