Scribble at 2026-01-15 15:08:00 Last modified: 2026-01-15 16:41:06
会社法の勉強は以前からリーガル・クエストを読んでいたのだが、更に何冊も買い求めて(会社法は2019年に大きな改定があったので、それ以降の出版物に限ってのことだが)読み比べようと思っている。ただ、江頭も田中も大部のテキストなので、会社法のどこを重点的に勉強しておくべきなのか、あらかじめ辺りをつけておかないといけない。僕はなにも司法試験を受けるわけでもなければ法務部の人間でもないのだから、中小企業の役職者として弁えておくべき素養の範囲で、しかし正確かつ厳密に学んでおくべきところは、押さえておきたいのである。そこで、まずは会社法の概観を得るために、敢えて司法試験対策としての入門書を通読した。僕は学部が法学部法律学科だったので、全くの初心者ではないからだ。法学の講義などを聴いたことがないなら、岩波新書の『会社法入門』くらいが良いはずだ。『会社法入門』の著者である神田氏も、会社法では基本書とされる著作がある方である。
もちろん、伊藤氏の本書は概説書なので細かい話題や条文の解説はないのだが、会社法の中でも特に丁寧に学んでおくべきところは見当をつけられた。それは、やはりいま事業を継続している企業の人間なのであるから、「会社の機関」と「資金調達」であろう(「計算」もそうだと言われるだろうが、計算書は財務会計論や企業価値分析でさんざん勉強するからいい)。それに、自分で起業するわけでもないので、はっきり言って株式会社(持分会社でもいいが)の設立にかかわる項目は重要でないし、いわんや会社の解散にかかわる手続きなど必要以上に詳しくなっても仕方がない。それから、会社法は商法とも関わりがあるし、商法そのものが民法の特別法という位置にあるので、当たり前だが商法や民法、それから有価証券法なども本書では簡単に解説してある。けれど、たいていのサラリーマンにとって有価証券、つまり手形や小切手は縁遠いものだ。なんなら、最近の若者は日本銀行が発行する通貨ですら手に取らないで生活しているかもしれないのであって、こういう知識の習得も(あるに越したことはないのだろうが)割愛することとしたい。
役職者ではあっても、僕は会社において一般社員と同じく従業員という立場であることに変わりはない。したがって、会社法を学んだ方にとっては常識の類だと思うが、会社法という法令は実際には従業員について殆ど何も規定していないので、この法令は従業員という立場にある者が自分自身と会社との関わりについて知るという目的で学ぶものではないのだ。従業員として会社との関係を学ぶなら、寧ろ労働基準法や雇用保険法などを学ぶ方がよいだろう。僕が会社法を正確に学びたいと思っている理由は、自分と会社との関係というよりも、企業のガバナンスがどう法令で規定されているかという一般論を正確に知りたいからである。したがって、会社法関連のテキストを古本で買っているけれど、令和元年の改正よりも前に出た古いテキストの場合は、たとえば上場会社等に社外取締役を置く規定が取り上げられていないことを考慮して読む必要がある(ちなみに、令和元年の時点でも大半の上場企業には社外取締役がいたので、これは社外役員の導入を促すというよりも、法令に明文化して海外の投資家を安心させるためという趣旨があるらしい)。