Scribble at 2009-04-23 00:00:32 Last modified: 2009-04-23 00:00:32
やはり気になるのは、そういう不健全な実態による被害が常態化しているサービスを展開している会社が、一部上場とかしちゃってる事態そのものをどう着地させるのか、ということ。パチンコ屋は上場させない、風俗など公序良俗に反する企業も駄目、と制限かけてきた市場が、気づいたら売春被害者百人単位のサービスを堂々展開している企業を一部上場させちゃってた、という。via kirik.tea-nifty.com例によって切込隊長、談。もちろん SNS そのものには数学的なデータ構造のモデルとして善悪などない。要は「システム」とは別の「仕組み」、いわゆるビジネスモデルというやつに SNS がうまく乗っかってしまったのではある。言ってみれば、プロフなり掲示板なりなんなり、プロフィールが書けたり画像をアップロードできたり、とどのつまり赤の他人と通信できてしまえば、やりようによっては何だってイジメや出会い系のプラットフォームに使える。昨今の懸案となっているのは、携帯で普及している「仕組み」だ。これは mixi が加入の年齢制限を引き下げたことからも分かるように、メインターゲットはどう考えても中高生だ。しかも、トップページに表示されるバナーの殆どがエロ漫画かライトノベルのサイトであることから、広告プラットフォームとしても既にカタギの一般企業からは見切りをつけられているのではないかと思われる。ここから「ネットビジネス」や「ケータイビジネス」の浅薄さあるいは脆弱さをあげつらうことは容易だろう。しかし、これが「ケータイマーケティング」全般にとって、暗い見通しを指し示していると考えるのは早計だ。そもそもそういう仕組みでしか回らないのかと言われれば、そんなことはない筈だと思うからである。携帯にせよパソコンにせよ、どのみち「ネットワーク」をつくる「通信」であることに変わりはなく、その基本的なラインから出発しなおして、インフラの運用コスト、コンテンツの供給コスト、そういったコストを冷静にスケール(ステージと言ってもよい)別に試算した上で(当然、人件費や仕入れ代金も含めて)体制を整えておくこと。そうしたプラットフォーム周りの費用をしっかり支えられる「仕組み」を作っておけば、そもそも上場してまで移ろいやすい投資家から借金などしなくてもよい筈なのである。逆に言うと、IPO した企業の一部は収益構造に問題があるのではないかと、外から見ていて疑う材料にもなるわけで、「上場企業」と聞くだけで畏まったり羨望のまなざしを向けるのは、きわめて愚かなことなのだ。何かと言うと IPO を目標として語る経営者も多いが、収益構造が堅く、単純に資本力やスケールメリットだけで勝負できないサービスを展開していれば、上場して「市場から借金する」構造など自社のファイナンスに導入しなくてもよい筈なのだ。言ってみれば、IPO というものは一種のブースターであり、レバレッジそのものとも言えるわけだが、残念ながら mixi ていどの企業が市場から資金を調達して拡大できる事業規模というものはたかが知れており、後からでも DeNA や GREE などにシェアを食い荒らされてしまうていどのスケールメリットしかなかったわけだ。どれほどのアイディアがあろうと Facebook や MySpace を凌駕するスケールで事業を展開できるほどの資金調達は不可能だし、mixi の成長モデルと言っても、あまり期待できそうにない有料サービスの利用収入か、あるいは mixi に関しては先行きの暗い広告収入以外には残っていないと思われる。最後に SNS への規制という話に戻すと、問題は SNS あるいは mixi やモバゲーといった個々のサービスにはない。寧ろそういうプラットフォームに乗っかってしまった、既存のネットワークの弱さにこそ問題がある。しかも、ひとたび既存のネットワークが SNS などのプラットフォームで形成されるオンラインのネットワークと区別できなくなったり、切り離せなくなったり、あるいは依存するようになると、「何がいけないのか?」「どういうネットワークがよいのか?」という物差し(参照枠=frame of reference)を既存のネットワークに見出せるという確信すらなくなってくる。いちばん分かりやすい例で言うと、ふだんはご近所どうしで仲良く付き合っていても、お互いが「自分の知らない SNS で、自分のことをどう書いているか、わかったもんじゃない」などと疑心暗鬼になる可能性が生まれ、既存の「ご近所付き合い」というネットワークを成立させるための信頼関係が根拠をなくしてしまうのである。事実、学校の友人関係というネットワークは、既に多くの事例が語っているように、オンラインのネットワークと独立に信頼関係を構築できなくなってしまっている。SNS こそが社会を壊すツールとなりつつあるのだ。もちろん、「だから子供や生徒をネットから引き離そう」というのは、単なるセンチメンタルでしかない。宮台さんらが言うように、オンラインも含めたリアルがそうなっていることを子供に理解させて、その上でどう振る舞うかを教えるしかないのだろう。もちろん何らかの規制は必要だし、mixi やモバゲーがエロガキ(と、それを期待する大人)の小遣いを巻き上げることでしか回っていかず、規制すれば事業の縮小を余儀なくされ企業として立ちゆかなくなるかもしれないが、そんな些事はどうでもよいのである。必要な規制は行うべきだ。だが、金融マーケットへの過剰な介入が経済を歪ませるのと同じく、ウェブに関する特定のコンテンツや特定の利用方法に過剰な規制をかけるのは、単に天下り役人とか贈収賄の新しい通路を開くていどの経済効果(笑)しか生まないだろう。それに、先にも述べたとおりシステムそのものに問題があるのではなく、それに依存しがちな弱いネットワーク(脆弱な信頼関係)や、更にはそういう脆弱な信頼関係に頼ってしかユーザを増やせないというビジネスモデルに問題があるのだと思う。