Scribble at 2022-07-06 09:22:23 Last modified: unmodified

カナダのトルドー首相、フランスのマクロン大統領、WHOのテドロス事務局長…。女性が人工妊娠中絶を選ぶ憲法上の権利を認めた「ロー対ウェイド判決」を覆したアメリカ最高裁の判断に、非難の声を上げています。

「中絶はすべての女性にとって基本的な権利」米最高裁判断に世界のリーダーが続々発信。岸田首相は?

岸田首相はって。自民党員なんてタカ派でもしょせんは(隠れ)親米右翼にすぎないんだから、〈本国〉で決まったことに文句なんて言うわけないだろう。それにしても、性暴力で妊娠した女性でも中絶できなくて、まだ中絶を禁止していない他の州へいかなくてはならない状況となっているらしい。アメリカの場合、このような話題は (1) 男性の価値観という偏見、(2) キリスト教の価値観という偏見、という二つの歴史的な偏見(「歴史的」と言っているのは、生まれつきの偏見とは限らないからだ)で強力に支えられているため、いったん制度化されると覆すのが難しくなる。これはご承知のように銃規制についても言える。いちど既得権益を握ると、たとえ少数でも「自由」と「権利」を主張できてしまうからだ。これらは、昨今の馬鹿がイージーに繰り返す「多様性」だの「ダイバーシティ」だのという御託にも通じる話であって、社会思想における大昔からのアポリアと言ってよいだろう。

実際、昔の社会党や共産党が言っていたことを思い返すといい。一方では「自民党による数の論理」がどうのこうのと文句を言っておいて、他方では「国民の圧倒的な声により」うんぬんと、自分たちも同じように「数の論理」とやらに訴えている。こんな小学生でも分かるような自己欺瞞を、社会運動家や政党や思想家というのは何百年も平気で繰り返して叫んだり、果ては誰それ著作集などという豪華本を岩波書店や筑摩書房あたりから出版して平気な顔をして死んでゆく。まったく、人類史の実態は、かような〈観念のゴロツキ〉どもが築き上げるゴミの山である。

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